13 登場 ページ17
「あれ、あの人･･･」
「ん？」
隣に座る出久がある一点を見つめて呟いた。
誘われるようにその視線の先を辿ると、個性溢れる人混みの中でも目立つショッキングピンク。
げ、とあからさまに嫌な顔をするAに気付いて、その表情が可笑しくて出久は笑う。
「噂をすればなんとやらだね」
「なんでこっちに向かってくんの」
顰めっ面をして面白くなさそうにAは呟く。
自分達を通り越した何処かを見ている2人に、飯田とお茶子も気付いて同じ様にその先を辿った。
もう目の前にピンク色が来ている。
「やっほ」
威嚇するようなAの顔とはうってかわって人好きのする笑みを浮かべて4人の席へとやってきた男子生徒。
「･･･ドピンク頭に、」
「大量のピアス･･･」
もしかして、とお茶子と飯田が2人に視線を送る。
出久はそうだよ、と笑って頷いたが、Aは頬杖をついてそっぽを向いていた。
「どーも！にゃに？僕の話でもしてた？あ、それにしても久しぶりだね緑谷くん。怪我はもう大丈夫にゃの？」
「わ、あ、えっとお久しぶりですチェシャさん･･･怪我はもう全然･･･」
「そう！それはにゃにより！」
一通り出久のモサモサヘアをかき混ぜたチェシャは、満足したようにポン、と出久の頭を軽く叩いてからお茶子達に向き直った。
「Aのお友達？どーもにゃ〜」
「あ、ど、どうも！私、麗日お茶子です！Aちゃんおお兄さん・・・、ですよね！」
「そうそう。チェシャ、チェシャ・トエテシュレーガ。そこのメガネくんも宜しく〜」
ニコ、と目尻に少しのシワを寄せて妖美に笑うチェシャに、お茶子は「かわえぇ」と呟いていた。
かっこいいんじゃないんだね、と出久はちょっとズレてるお茶子に心の中で突っ込む。
飯田は飯田で、上官に挨拶をする兵士のようにビシッと畏まって握手を交わしている。
「さて、挨拶も終わったし。行こうか、A」
「なんでいつも会話を２、３飛ばす？突然すぎる。アポイントメントって言葉の存在を知れ」
「兄が妹に会うのに理由も約束もにゃいだろ」
「確かに・・・！お兄さんの言う通りだぞAくん！」
普段の５割増しで毒づくAにも兄のチェシャは臆さない。
兄を持つ飯田も、その言葉にウンウンと頷いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ - すみません。いくら探してもツイッターのアカウントが見つけられないんです。どうやって探せばいいんですか？ (2019年9月5日 21時) (
レス) id: b0f6bda559 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - めっさ面白い！続きが見たいいぃぃぃぃ!!!!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
小幸(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！！リアルの方でも頑張って！！ (2018年5月18日 2時) (レス) id: 4d03ac968f (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 作者様愛してます！この話大好きです！更新頑張ってください！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: a5c2574b45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ておどーる | 作成日時：2018年4月7日 0時
