10 心配症 ※訂正 ページ14
その日の昼休み。
あいも変わらず混み合う食堂で、真面目委員長飯田の真面目節が炸裂していた。
「Aくん、君と言う人は・・・今日も菓子パンか！！退院したばかりで食が喉を通らないと言う事を考慮してみても流石に見過ごせないぞ！！」
「・・・お前は私の母親か」
「口まで悪くなってしまったのか！？」
今まで”くん”呼びだったAの”お前”呼びに飯田は驚愕して腕を振る。
ビシィッと真っ直ぐ伸びた腕の先には、辟易としたA。
コンビニで見かけるペナペナのサンドイッチを無造作に噛みちぎっていた。
(Aちゃんって意外に粗暴な所あるよなぁ・・・)
(今日Aちゃんお団子なんかわえぇ･･･)
そしてそんなAを見る出久とお茶子の二人は、それぞれ見当違いの事を思っていた。
「いや、俺は男だ、君の母親にはなれん！それはそうと君の母上はその食生活について何も言及はしないのか？」
「いや、心配するも何もいないし」
心配するなら別の意味で心配されそうだ。
こんな人間の食べ物なんか食べて、って意味で。
「いないと言うのは、それは離れて暮らしていると言うことか？」
「いや、死んだよ。どっちも」
何の感情も読めない声色で、Aは言った。
その言葉に飯田を含め、出久やお茶子、近くにいた全く関係のない生徒までもが口を噤む。
生徒の喧騒で賑わう食堂、しかしここだけが切り取られたように静かだった。
「えっ、いやそんな深刻そうな顔しないでくれると助かる・・・」
妙に暗い顔で身じろぎもしない友人たちにAはあたふたと両手を振る。
確かにそのことで色々あった。
色々と言う言葉で片付けられない程だが、ここでそれを一々思い出してては真っ当に生きていけない。
――それに、今は恨む相手ももういない。
違う世界の人間までをも恨む程、見境が無い訳でも無い。
「不躾なことを聞いてしまって・・・すまないA君」
「いや、頭上げて飯田くん。別に気にしてないし。ホラ、そんな葬式みたいな顔、お茶子ちゃんも出久もやめぃ」
顔あげろや、と後半は半ば脅しに近い形でAは３人の項垂れた顔を上げさせた。
「それに、ポンコツだけどチェ・・・お兄ちゃん、いるし。寂しくはない」
誰にも言ったことはなかったけれど、と言うか言う必要も感じないけど、案外あの猫との生活には満足している。
家に戻れば「おかえり」、起きれば「おはよう」が返ってくる生活は嬉しいものだ。
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ゆあ - すみません。いくら探してもツイッターのアカウントが見つけられないんです。どうやって探せばいいんですか？ (2019年9月5日 21時) (
レス) id: b0f6bda559 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - めっさ面白い！続きが見たいいぃぃぃぃ!!!!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
小幸(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！！リアルの方でも頑張って！！ (2018年5月18日 2時) (レス) id: 4d03ac968f (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 作者様愛してます！この話大好きです！更新頑張ってください！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: a5c2574b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ておどーる | 作成日時：2018年4月7日 0時
