白雪姫奮闘記 Ⅱ (ページ11)

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※イかれた"フィーロ" ページ11

火元を潰すことができたのか、もう暑くない
自分で立ててしまった土埃で鼻がムズムズする
思わずくしゃみをすると、土埃が少し晴れ、周りの様子が見える様になった
フィーロが潰れているであろう場所に視線を向ければ、其処に奴はいない
正確に言えば奴ではなく着ぐるみが転がっている
『！あれ、こいつ…』
何処かで見たことがあると思ったら、少し前にルフィが蹴り飛ばした着ぐるみ男だ
何でこんなところに転がっているのかも気になるが、消えたフィーロの姿を探す

倒れているモージから目を離し周囲に意識を向ける
その直後、背後から手が伸びてきた
『！な…！！こいつどうなって！？』
完全に気絶して意識はなかったはず
先程のカバジと同じ様に首は座っておらず、白目を剥いてフラフラと私に倒れ込んでくる
ゾンビみたいで気味が悪い
『このっ！！変態！！！』
力の無いモージの腕を振り払い、右足を後ろへ引き真横へ薙ぐ
そのまま相手の鳩尾にヒットさせ、足を振り抜く
爪先から骨の軋む振動が伝わってきた
勢いのまま吹っ飛んで行ったモージを見送る

肩越しに自分の背後を振り向く
何処にいたのか、ずっと其処にいたのか、紳士の仮面を忘れたフィーロが立っていた
『なんだ、其処にいたの』
「て、てめェ…よくも副船長サンを！！！」
『え！？あの着ぐるみ本当に副船長だったの！！？ドン引き！！』
ーあんな見た目で副船長なの…
てっきり、さっきの一輪車男の方が副船長だと思っていた
「おれの人形劇を2度も躱すとはなんて女ダ！！！」
『人形劇？』
「そうサ！！意識のない奴をおれの手駒にスル！！そして背後から敵を、グサリ！！ショーとしても最高！！完璧だろウ！！？」
『ガバガバ過ぎてアドバイスのしようもない』
どうやらカバジもモージもこのガバ男に操られていたらしい
ー大丈夫かこの一味
「クソ女(アマ)が！！その妙な怪力も…さてはお前も能力者だナ！！！」
『うん』
「能力者と分かればおれの敵じゃねェェェ！！ぶっっ殺してやんよォォォォ！！！」
『！？』
普通能力者だって分かったら戦わず逃げ出す奴が多いのに何を言ってるんだ、と思った直後だった
顔面から冷たい何かを被る
その瞬間、全身の力が抜け立っていられなくなった
ー海水！？なんで…？
膝をつき、フィーロを見上げれば帽子からポタポタと海水が伝う
「ハハハハハァァァ…海水は苦手だったかイ？？お嬢ちゃァァン？？さっさと死ィィねェェェェ！！！」