木霊する呪声は星空へ【シャルル・ローズ】 ページ45
シャルルがここに来てすぐの頃。テレーゼとの掛け合い。シャルルの過去をちょっとだけ書く感じの物語です
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『お前の記憶力があればもっと実用性のあって、人を助けることができるはずだ』
音楽を聴いてると、いつも聞こえてくる父親の声。聴いていた音楽を一度止めて頭を抱える。いつまでも縛り付けられるような、そんな声を切り捨てて、早く自由になりたいのだ。家を出たからと言っても、ただその場からいなくなったというだけで、根本的な解決には至っていない。
外を見るとやっと夜だ。強い日差しのある朝と昼はあまり得意ではない。だから、夜になったら活動することが多い。部屋のカーテンは閉じたままだが、豆電球をつけて少しの光で生活をしている。少し外の空気を吸って来ようと思い、外に出る。少し歩いた先に海がある。すると、孔雀色の冴えた青色の髪をした、小さな少年のような種族が、海を見ながらジッとしていた。
「先約いんのかよ」
ポツリと呟くと、聞こえたのかこちらを見る。
「何じゃ?お嬢ちゃんも星を見に来たのか?……冴えない顔をしとるのう。ちと、余に話して見るといい」
「いや、特にないですよ」
「お主より、何杯も生きとるんじゃ。顔を見たら分かるぞ?年寄りに話せばスッキリすることもあるじゃろ?」
(年寄りって話すの好きだからな……寧ろ話したいのはこいつじゃね?)
だが、心の中で悪態をつこうが何をしようが、この状況じゃ話すしか無さそうだ。いや、話したがっているのは自分なのでは?と自問自答を繰り返す。
「どうして、自分の話を聞きたいって思うんだよ」
「ふむ、余はいろんなところに旅をして、いろいろ見てきてのう……。勿論、余はもう年寄り以上に年を取っている。明日死んでしまうかもしれない。じゃから、少しでも余の感じて見たものを、若者に託したくてのう……」
少しでも役に立ちたいという意味が伝わってきた。シャルルも、彼から悪いオーラなどは感じられないし、モヤモヤする心情をどうにかしたくて、過去にあったことを話すことにした。
「ナイトドリーム……ふむ、昔行ったことがあるのう。太陽が当たらなくとも、栄えてる国じゃったな。お主の『完全記憶能力』は、確かに人を助けるための手段にもなるが……」
彼は言葉を濁らせた。少し考えているようにも見える。上を見上げると、満点の星空が広がっていた。
「確かにお主の両親の言ってることは確かであるがな、一つ忘れてはいけないことがあるぞ」
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開(プロフ) - いろいろな作品更新されたあとありますがPCが重くて間違えて触ってしまい更新された状態になってしまいました申し訳ないです、、一応触ってしまっただけなのでみなさまの文章に言葉が欠ける、増えるなどは無いです申し訳ありません (2022年3月21日 7時) (レス) id: 62c5ad2de3 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 作者様を巻き込みたくないので出来れば他の作者のCSSに変えた方が良いと思います (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私のCSSを変えていただけないでしょうか?どうやら再配布禁止の画像を使っていたので申し訳ないですが。大変ご迷惑をかけしました。全部が違反した分けではないのですが保証も出来ないのでよろしくお願いします。 (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - Melcheさん» 更新お疲れ様でした! シャルルさんとテレーゼさんは前からのお知り合いだったんですね。それにしても、シャルルさん視点のお話、面白いですよね笑 軽快な書き方がとても好きです! (2021年2月22日 23時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
Melche(プロフ) - 更新終わりました!最後のオチが上手くいかなすぎて泣きそうになりました() (2021年2月21日 20時) (レス) id: 10c523e9ad (このIDを非表示/違反報告)
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