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苦労その10 ページ12

ピピピピ ピピピピ

6歳の誕生日に貰った目覚まし時計が、起床時刻を告げる。

つぶらな瞳のピンクペンギンの腹部に、時計が埋め込まれている。

そして、なぜか右の翼に『酢』と書かれた“とっくり”を持っている。

寿人チョイスの品だ。

これを見る度、幼少期の我が幼なじみのセンスを疑う。

てか、こんなのどこに売ってたんだろ...

呆れながら体を起こすのが、もはや長年の日課となっている。

着替えてキッチンへ向かう途中に両親の寝室を覗くが、二人ともまだ寝ていた。

きっと朝まで飲んでたんだろうな。

衣類・布・空間用の某消臭剤の匂いが、部屋に充満している。

今日も仕事あるっていうのに・・・









私の朝は早い。

自由な両親を持つ私は、毎朝三人分の弁当を作っている。

父は以前からあんな感じだったが、母の方は私が成長するとともに、その度合が高まった。

『女の子産んで本当に良かったわ〜‼』と、何度言われたことか。

いつものように制服のスカートにキャミソール、エプロンという、ラフすぎる格好でキッチンに立つ。

今日は薄味の物にしよう。

どうせあの二人、二日酔いだろうから。

三人分の弁当作りを手早く済ませ、二つを食卓の上に置く。

もう一つは自室へ持って上がり、バッグの中に入れる。

まだ家を出るには早すぎる時間なので、勉強でもして時間を潰す。

これでも一応、受験生なのだ。

前までは寿人の進路の心配もあったけど、今はプロ入りが決定している。

最大の不安が解消され、これからは自分の勉強に集中できる。

受験のためでもあるけど、学んだことは部活にも役立つ。

通常のマネージャー業に加え、練習メニューやスカウティング、戦略の考案は私の仕事のだからだ。

チームのために私ができることは、そこまで。

だから、できることは抜かりなくする。

それが私に与えられた役目で、誰にも譲れないプライドだ。









全国。

スッチは連れて行ってやると言ってくれた。

でも、それじゃダメだ。

どんなに選手が走ろうと、情報と戦術が十分じゃないと意味がない。

私がみんなを連れて行く。

それくらいの気迫がないと務まらない。

シャーペンに力を込めた時、家のチャイムが鳴った。

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シャボン(プロフ) - 更新待ってます! (2021年1月11日 0時) (レス) id: 9c193604b1 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - ありがとうございます!まってまーす! (2017年4月8日 2時) (レス) id: 63fa5fe382 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - 続けて欲しいです!! (2017年4月6日 0時) (レス) id: 63fa5fe382 (このIDを非表示/違反報告)
優香里 - この話の更新を今までずぅーと待ってました!お願いします!続けてください! (2017年4月3日 19時) (レス) id: 50a32252ec (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - このお話、大好きです!よろしければ続けていただきたいです! (2017年3月27日 15時) (レス) id: 299250a361 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よしゅ | 作成日時:2016年7月27日 19時

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