寮母と水泳部 (ページ20)

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１９話ページ20

「Aさん！」

似鳥君が私のことに来た
他の１年生も一緒に

『ん？どうしたの？』

「あ、あの！さっきの泳ぎ見てました！」

「あんなきれいなクロール見たことないです！！」

「どうしたらそんなふうになるんですか？！」

そうだなぁ・・・

『水は生きている。ひとたび飛び込めばそいつはたちまち牙をむき襲い掛かってくる。だけど恐れることはない。水に抗わず水面に指先をつけ切れ目を作り出す。その切れ目に体をズべりこませていく。かな？』

「・・・？」

『つまり水に抗うな。水を受け入れろってこと。水と喧嘩するとうまく泳げないよ。水を受け入れればいい。こうやってね？』

バシャン

水は私を受け入れてくれる
私はそれに答えているだけ

「・・・すごい」

「A姉・・・」

みんなに私の泳ぎをみてなにかつかんでほしい
そう思い泳ぐ

バシャン

私が泳いでいるレーンの隣で誰かが泳いできた

見ると凛君だった

「(ふっ)」

あ、凛君が笑った

「『ッぷは！』」

いつの間にか凛君に追いつかれていたみたい

『はぁはぁはぁ』

「A姉」

『ん？』

「・・・なんでもない」

「こらぁぁぁ！A！！」

『やべぇ！！』

コーチに怒られる！！

『いい手本になればと思って！！』

「だったら服をぬげぇぇぇ！」

『水着ならいいんか』

「だめだ！」

どっちだよ！！
わけわからん！

プールからあがると１年生がそばに駆け寄った

『・・・どう？わかった？水の抵抗を少なくして泳いでみたんだけど？』

「なんとなくわかりました！！」

『ならよかった。御子柴君、あとお願いしてもいい？』

「わかりました。・・・久々に泳いでいる姿見ました」

『まぁ２年ぶりだしね？あとよろしく』

御子柴君に任せ再び着替える

・・・これ何回目だ？

服を着替え寮に戻りご飯の支度をした

食堂

うん。今日も完璧♪

今日はチンジャーロース、ホウレンソウの胡麻和え、キノコの味噌汁、ごはん

我ながらいい出来♪

時間を見ると予定時間より少し遅い

どうかしたのかな？

その後ぞろぞろと食堂に入ってきた
みんなの顔が疲れ切っている顔をしていた
これはしごかれたな

『みんな、お疲れ様。今日はチンジャーロースだよ。各自持って行ってね？』

力のない声で返事が返ってきた

これは相当疲れたんだろうな

「A姉」

『あ、凛君お疲れ様。』

「ああ。A姉の泳ぎ久々に見た」

『私も久々に泳いだ』

「あの時と変わらねぇなって思った」