チームの輪 ページ31
「しげ、どこ？」
「…ここ」
ことが終わり、席を外していたしげを探せば、案の定落ち込んでいるのかぼそりと小さな声が聞こえた。
「ここってどこやし」
「もう、見たらわかるやろ。俺は今日で終わりやねん」
「ぷっ、ははっ」
「何がおかしいん、酷すぎるやろ。さすがに」
「だって、終わりじゃないもん。それなのに落ち込んでるから」
「はぁ？資料なくして終わりじゃないわけないやろ」
「資料なくしてたらね、でもさっきまで使ってたらしいよ」
「あぁ、え、待って、ほんまに？」
「うん、だからしげはなくしてない」
「何で、」
「部長が言ってたはずだけど。忘れてたんでしょ」
「ん、そう言えば何か言うてたような」
「本当にバカだね」
「え、じゃあ俺辞めんで済むんや。よっしゃ、よかった〜」
「あ、でも話ちゃんと聞いてないことについて部長からお説教らしいよ」
「…嘘やん、誰が言うたん」
「私」
「お前ほんま、最っ低やな」
「だって助けようとしたら後ろにいたんだもん」
「そんなん、気を付けろや」
「第一聞いてないしげが悪い」
「うるさいわ」
「ということで、部長、お説教よろしくお願いします！」
「おう、任せて」
「げっ、いつからおったん」
「早瀬さんもだいぶSやなぁ」
「濱田さんまで？」
「みんなおるで」
「しげ、何してん」
「ださいですね、ほんまに」
「神山くんはどう思う？この失敗について」
「重岡さんが悪い、ですね」
「神山もそんなこと言うん？俺もう、泣きそう」
「泣け泣け、泣いたらすっきりして仕事はかどるやろ」
「ほんま淳太嫌い」
「俺も嫌いや、奇遇やな」
「何だかんだこの二人仲いいよね」
「それを言うなら早瀬さんも」
「私？」
「仲いいですね、俺と」
「ははっ、」
「そこ笑うとこじゃないんですけど」
「いや、俺も仲いいのになって。なぁ？」
「え？あ、はい。濱田さんとは仲いいですね」
「俺とは仲悪いみたいな言い方ですね」
「苦手、かも」
「うわ、あの流星が振られてる」
「えと、仕事そろそろ始めません？」
「神山くんは彼女いるの？」
「僕ですか？…いません」
「えー意外やな、俺もおらんで」
「重岡さんはそんな気がします」
「言われてるやん」
「もう、俺には味方おらんのか」
しげが資料をなくしたおかげか、チームの仲が深まったような、そんな気がした。
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作者名：七月雪 | 作成日時：2018年3月17日 21時
