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廉「なにしてんねん！
聞こえんのか！！！」
そう大声で彼が叫ぶから
自然と会場の目を集めてしまう。
海人くんのために
穏便に済ませようとしたのに、
台無しになってしまった。
ずぶ濡れで
汚れたドレスを着た私。
きっととても醜い姿になってるはず。
そんな私を見て悲しそうな目をした廉くんは
一歩ずつこっちに歩み寄る。
あと10歩。
あと7歩。
あと3歩。
あと、、、
手が届きそうで届かない距離で
廉くんが足を止める。
と、同時に
彼とは反対の方向から
大きめのジャケットが私をくるむ。
「廉、ごめん。
いま、Aが苦しんでるのは
俺に関することだから。
今だけ、コイツ譲って？」
耳元に聞こえるその声は
わたしの脳内を揺らす。
これ以上、彼に近づいちゃだめ、
本能的に私の心が黄色信号を点滅させる。
胸の奥の扉をもう一度開けたら
きっと一生
わたしは君に囚われてしまう。
君から、
離れられなくなる。
紫「ごめんな。俺のせいで。」
そう呟く声は弱々しいのに
私を抱き上げる彼の腕は、とても逞しい。
彼は顔をくるっと
数秒前まで私を囲んでいた集団の方に向ける。
紫「俺、こいつ以外の人を
好きになったことないから。
変な妄想話、しないでもらえる？
これ以上、Aのこと傷つけたら
女だからって関係なく
お前を、潰す。」
そこには、
私の知らない紫耀がいた。
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作者名：Kipi
| 作成日時：2019年1月14日 4時
