Una rosa roja - SHO - 2 (ページ4)

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グラスの割れた音は

鳴り響くリズミカルな音楽に消されて

周りで騒ぐ人々は
私が怪我をしたことなど気づかない。

柚「 ' 柚愛ちゃん ' とか呼ばないでくれる？

気持ち悪い。」

あの可愛い笑顔の面影は

目の前にいる彼女にはない。

柚愛ちゃんと同じように

私を見下し、嘲笑うようにして

たくさんの女の子が周りを囲む。

急にばんっと肩を押されて

後ろに倒れこむ。

さっき怪我した足がヒリヒリして痛い。

柚「あ、ごめん。

また手が滑っちゃった。」

テーブルの上で何かが倒れて、

冷たい水がバシャっと

私の頭に降り注ぐ。

周りの女の子達は

口を押さえて声が出ないように笑って

「ざまあみろ。」

そんな目をして私を見下ろす。

助けて、

そう叫ぼうと思った。

でも、

この楽しそうな雰囲気を壊したら

きっと海人くんに悲しい思いをさせてしまう。

私なんかの為に、

彼の大切な日を犠牲になんか出来ない。

「わたし、

何かしたかな？」

立ち向かうしかない、そう思った。

柚「は？」

「あなたに、何かしたかな？」

柚「あんた、それ本気で言ってんの？」

思い当たらない訳ではない。

でも、私はあの人の記憶はほぼ全部

胸の奥に詰め込んで鍵をかけてしまったから。

柚「あの時、

貴女が邪魔をしなければ！

私は紫耀くんと幸せになれたのに！！

人の幸せ奪っといて、

今度は、廉くんに乗り換える？

ふざけんな！！！」

殴りかかって来そうな勢いで

彼女の言葉が私に降り注ぐ。

嫉妬は、時に理不尽だ。

でも彼女の言葉を聞いて

この状況も仕方ないと思った。

これが長年私が重ねた罪の重大さだから。

償う義務が、私にはある。

でも、

そんな大声を出すと

「お前ら、何してんねん。」

ほら、彼が私を助けに来てしまう。