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理不尽に渦巻き始めた嫉妬心は
止められない。
俺の方が、Aを知ってる。
俺の方が、Aを分かってあげられる。
俺の方が、Aが好きだ。
俺の方が
俺の方が、、、
廉なんかに渡すもんか。
彼女を手放す為の決心は
いとも簡単に崩れて、
彼女への独占欲が
閉じていた鍵を壊して溢れ出す。
Aは、俺のだ。
なのに、廉がなぜ
クラスメイト達に怒ってる？
怒りたいのは俺だ。
彼女を守るのは俺だ。
紫「お前が言えることじゃないだろ。」
気がつくと
俺は廉の前に立っていて
強く握った拳は
彼の口元を捉えていた。
手に受けた衝撃が
俺を我に帰らせる。
廉は、
何も悪くない。
悪いのは、
あの日から君を閉じ込めた
俺自身だ。
ぶわっと何かの感情が俺を襲って
教室から飛び出す。
廊下には、
呆然としている君の姿。
目が合った瞬間、
君は背を向けて走り出す。
彼女の背中には
羽根が生えているようだった。
まるで
籠から放たれて
自由になった鳥のように。
これ以上、
Aに嫌われてしまったら、
俺はきっと
生きていけなくなってしまう。
遠ざかっていく彼女の姿が
俺との心の距離の広がりを体現しているようで
ひどく苦しい。
君に
嫌悪されるくらいなら
この恋心は
きっと捨てられないけれど
誰にも知られない
胸の奥の
奥の奥の奥の方に
隠しておこう。
籠から逃げ出した鳥が
飼い主のもとに戻ってくる確率は
ほぼゼロパーセント。
君が
俺の隣に戻ってくる確率は
もっとゼロに近い気がするから。
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作者名：Kipi
| 作成日時：2019年1月14日 4時
