Una rosa roja - SHO - (ページ41)

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廉「俺を利用していいよ。」

廉くんが、そう私に言った時、
意味が分からなかった。

高校二年の時、

同じクラスになった彼との距離は
急速に縮まって、

気づけばいつも一緒にいた気がする。

だから、何となく気づいていた。

廉くんの

私を見る目が変わっていたこと。

彼の瞳から溢れた ' 好き ' が

' はやく気づいて ' 、と

私の心のドアを叩いた。

でも、

気づかないふりをしてた。

恋愛に臆病な私は

彼と真正面から向き合える自信がなかった。

そんな私に、

廉「これから先、

Aが、誰かを好きになれるように

俺が練習台になったるわ。」

廉くんは、
そんな無茶苦茶な提案をする。

廉「俺と、付き合ってみいひんか？

恋人がいるって

本当はすごっい幸せなことなんやで。

それを、俺がAに教えてあげる。」

彼はいつも突然だ。

「廉くんをそんな風にはできない。」

私は貴方を、

傷つけたくはないの。

きっと私はまた

廉くんを不幸にしてしまう、

紫耀のときみたいに。

廉「なんや、ノリ悪いなあ。

俺がそれでええって言ってるんやから。

自分の幸せは、自分で決める。」

イタズラな笑顔は

どこかに切なさを潜ませて、

その強い瞳は

私にノーという選択肢を与えない。

恋人がいる幸せ、

彼はそれを私に教えてくれると言った。

それを知ったとき、

私はまた誰かを好きになれるのだろうか。

あの辛い恋を

忘れてしまえるような

熱く燃えるような恋ができるのかな。

その時、

私は、

幸せなのかな。

もし、そうなら

その幸せを知りたいと思った。

覚悟を決めたような表情で

私の方に手を差し出す廉くん。

わたしは

静かに

彼の手をとる。

廉「離れたくなったら

いつでも離れてええからな。」

繋がって手と手を見て

そう笑う廉くんの笑顔は

どこか儚かった。