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雅さんの枕元に
' 無事でよかったです。
また明日来ます。'
そう手紙を残して、
一階のロビーへ向かう。
階段を降りる足はまだ震えていて
はやく紫耀に会いたい、
そう思った。
でも、
「Aちゃん。」
そう私を呼ぶ声は彼じゃない。
「なんで、
廉くんがいるの?」
周りを見渡しても
紫耀はどこにもいない。
廉「紫耀からライン来て、
Aちゃんを迎えに行ってあげて欲しい、って。」
そうじゃん。
馬鹿だなあ、私。
少しだけ、ほんの少しだけ
期待してた。
彼がまた私を助けてくれたから。
私の手を強く握ってくれたから。
私の隣に戻ってきてくれるのかなって。
ほんとに、わたし図々しいな。
サヨナラを告げたのは
自分自身なのに。
今更、
瞳に水が溜まる。
廉「帰ろか。」
私の頭に手をぽんと置いて
優しく語りかけてくれる廉くん。
何も聞かない、
きっとそれが彼の優しさで、
傷心した私を静かに癒す。
泣いちゃダメだ。
泣いていいのは、きっと
今じゃない。
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作者名:Kipi | 作成日時:2019年1月7日 9時