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家に帰ったら、
今日は雅さんが早く帰る日なのに
冷蔵庫が空で
エコバックと財布を持ってもう一度外に出た。
作ろうと思っていたのは
買い物してるうちに炒飯が食べたくなった。
卵と、ネギと、、、
チャーシューも買わなきゃ。
お肉売り場に近づくと、
聞き覚えのある声が聞こえる。
「えー、みんな何のお菓子が好きかな。」
「スナック菓子なら誰でも食えるやろ。」
声のする方に顔を向けると、
わいわいしながら買い物をするのは、
廉くんと紫耀が気になるあの子。
ただ、
彼らの方を見たタイミングが悪かった。
ふとこちら側を向いた廉くんと
あの食堂の時みたいに、
バチっと目が合う。
そして、
そんな廉くんを不思議に思った
巻き髪の可愛いあの子とも
目が合ってしまった。
「うちの学校の制服着てるけど
廉くん、あの子知り合い?」
ぽかんとした顔をして聞くあの子。
廉「いや、あいつは紫耀の、」
そこまでで廉くんは言葉に詰まる。
言えないよね、この子には。
廉くん本当のこと知ってるもんね。
「え、紫耀くんのなに?」
答えない廉くんを見て、
彼女はなぜかこっちに向かって走ってくる。
「あの、紫耀くんとどのようなご関係で
いらっしゃいますでしょうか?」
もぞもぞしながら聞くあの子。
なんだ、両想いじゃないか。
彼女もきっと紫耀のことが好きなんだ。
切なさに心が揺らぐ。
回鍋肉にしとけばよかった。
そしたら彼らに会わなくて済んだかもしれない。
苦しい現実を
知ることはなかったかもしれない。
でもこの痛みは私への罰だから。
きっと
紫耀はもっと苦しんでる。
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作者名:Kipi | 作成日時:2019年1月7日 9時