【歌い手】本当の私は仮面の下...2

第47話 ページ4

Aside









「やだっ、あの女性血だらけじゃない」


「っえ、大丈夫なのかしら」


「www見て、あの人傷だらけww」


「うけるwwリスカしまくってる人みたいww」


「ねぇあなた、救急車呼んだ方がいいのかな」


「でも、ちゃんと歩いてるしな、心配だな」


「気味が悪いわ、あのお方」


「警察呼びましょうよ…」









『(うるさい、うるさいな)』





路地裏をぬけたら住宅街だった



人通りが少なかったから歩いていたら帰宅途中の女子高生や買い物帰りの夫婦、おば様方がヒソヒソと話している



そんなにひどいのか、と思い歩きながら下を見ると



大きく切り裂かれた腕、出血が多いのか青白くなっている



赤く、ところどころ青白く、腫れあがっている足



擦りむいたような感じのじんじんとした体全体



足の裏は裸足だから色々なものが食い込んで血だらけになっている



歩くたびにコンクリートに少し血が着く





こんな状態なのに不思議とそんなに痛みは感じない



麻酔のような、麻痺した感じ



そりゃ病院なんてすぐ行きたい、でも行ったら絶対親族とかに電話してみんなが来てしまう、迷惑をかけてしまう



そういうことをやって許されるのはヒロインだけだから



私がやったらきっとシェアハウスも追い出されるんだよな…



歌い手も、辞めなきゃなぁ…



やだな、せっかく見つけた居場所なのに



目に涙が溜まっているのが分かる



視界が涙と貧血で歪んできた





『やだっ、誰かの生きる意味に、なりたいっな…』





溢れてきた涙が傷に滲んで痛かった



心も、胸も全部痛かった





生きるのが辛い、今生きているのが辛くてしかたない



死んでしまいたい、消えて跡形もなく無くなりたい



何で私だけ、こんな辛い思いしなくちゃいけないんだ





結局、あの時と一緒じゃないか………！

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