自責 ページ20
丈一郎side
しばらく待合室で座っていると、先生が処置室から出てきたのを見て慌てて立ち上がり駆け寄る。
「...お疲れ様です」
「藤原くんもお疲れ様。恭平くん頑張ってくれましたよ。重度の発作だったので、数時間前から呼吸がまともに出来ない状態が続いていたと思います。とりあえず今は落ち着いてるので、病棟の方に案内しますね」
「すみません、お願いします」
いつもの担当医の先生から軽く説明を受けて、病棟に向かう後を着いていく。
「恭平くんの場合、意識が戻ってからも胸痛を感じる場合があるから、また何かあれば呼んでください」
「はい、ありがとうございます」
病室から先生が出ていって、ベッドの上の恭平を改めて見つめる。
恭平の顔には大きすぎる酸素マスクが着けられていて、未だに顔色が良いとは言えへんけど、さっきよりも穏やかな顔で眠っている恭平を見て安心する。
「大吾に連絡せな...」
既に外は暗くなっていて面会時間の終わりが近いことが分かり、スマホを開いてメールで恭平の様子を伝えるとすぐに既読がついた。
“ 了解。ご飯作って待っとるね ”
大吾からの返信に既読をつけ、再び恭平に目を移す。
「何があったん、恭平...」
さっき流星と電話越しで話して恭平がこんな事態になった理由を聞くけど、“ 俺が走ったから恭平はそれに付き合ってくれただけ ” との回答で、流星が急に走り出すなんてそんなことをするとは思えへん。
仮に流星が走ったとしても、その前に何かしらの出来事があって走らなあかんくなったはずやから、その出来事を聞きたいんやけど頑なに理由を話さへんから何があったのか全く分からへん。
施設帰ったら流星と直接カウンセリングせな...と考えながら、時計を見ると19時を示していて帰る準備をし始める。
「恭平、また明日来るな。今日はゆっくり休み」
目を覚まさへん恭平の頭を撫でながら、聞こえてるかも分からん声をかけて病室を出て、ナースステーションを少し覗いて軽く声をかける。
「すみません、今日は帰りますんで...」
「あ、藤原先生、お疲れ様です。お気を付けて」
「はい、恭平よろしくお願いします」
病院のスタッフの方に会釈をしながら病院を出ると、既に外は冷え込んでいて思わず上着を羽織り直して肩をすくめる。
病院からは歩いても帰れるんやけど、今日は施設を空けてる時間が長い分、大吾にワンオペをさせてしまう時間も必然的に長くなってしまうと思ってタクシーを拾い帰路に着いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - 佑妃奈さん» はじめまして！嬉しいコメントありがとうございます...！今後ともぜひよろしくお願い致します！＾＾ (4月16日 3時) (
レス) id: 03ea4d57a5 (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - 飽きてませんよ!!恭平のお話好きです！ (4月14日 16時) (レス) id: 560bd373a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆん | 作成日時：2024年3月22日 1時
