◆*Unhappy Wedding*◆【K.Ninomiya】Part5 (ページ10)

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ﾄﾝﾄﾝ、

江野「奥様、今朝方獲れた果物を使用したミックスジュースをお作り致しました。

一口、召し上がられてはいかがですか…？」

「……」

江野「…冷蔵庫にて冷やしておきますので、またお口が乾いた際にお飲み頂けたら幸いです」

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"本日の食事も私が考えさせて頂きます。ご心配せず、お休み下さいませ"

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気を遣う口調で少々躊躇いつつも

料理長の江野さんは

私の小部屋をパタパタ、と後にする。

横たわるベッドとセットである

パステルカラーの枕は

幾度も流した涙で湿っていた。

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『……A……』

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翔ちゃんとカズと

3人で鉢合わせてから…今日で三日。

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案の定、私は今の今まで

この部屋に引きこもり

二人とロクに言葉を交わしていない。

同じ家に住むカズとさえ

朝も夜も一日中、顔も見ることが出来なかった。

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「…ちゃんと、謝らなくちゃいけないのに…」

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『、Aっ……！』

「……っ……」

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罰が当たったんだ。

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いつでも話せた。

すぐに言える距離だった。

だけど

"まだ大丈夫"だって

"時間はある"って

安心し過ぎてた。…油断してたの。

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もしかしなくても、

翔ちゃんにはもう私を嫌いになった。

当たり前だよね。嘘付いてたんだから。

いくら弁明したところで彼と私の溝は簡単には埋められない。

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カズも……

こんな最低な私を内心、蔑んでるに違いない。

考えなくても分かる。

「……自業自得、か」

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ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ、ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ……

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「…メール……？」

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突然、届いた新着メッセージを確認する為、

潤んでいた目尻を手の甲で擦り

ピカピカと光る携帯を操作する。

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…その文章の差出人を見た途端、

私は目を見張り、生唾を呑んだ。

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ｶﾗﾝ、ｶﾗﾝ………

*「…久しぶり」

「…」

*「話したいことがあってさ。Aならここに来てくれるって…思ってた」

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来店のベルが鳴り響く。

ウェイター姿のあなたは微笑む。

「…、私も同じだよ…」

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「…、翔ちゃん……」

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