◆*Unhappy Wedding*◆【K.Ninomiya】Part5 (ページ9)

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◆｡*99【side Kazu】ページ9

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ｶﾞﾁｬ…

田中「…社長」

和「…いつから居た？」

田中「社長が櫻井様をこのお部屋にお呼びし、まだ間もない頃からです。

盗み聞きをするおつもりはなかったのですが…退出するタイミングが見当たらず」

和「だから、書庫と繋ぐ裏口を作りたくなかったんだよ。こういう時があるから…(笑)」

田中「…すみません」

和「いい、お前に謝られたらコッチが非を感じる」

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哀しげに目尻を下げる執事を横手に

俺は既に空っぽになったビール瓶を

ユラユラ、と左右に振る。

目映い太陽の日差しが

硝子の表面に弾かれ、七色の斜線を描く。

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田中「A様と…お別れになられるのですね」

和「ん」

田中「…」

和「知ってたんだな。…アイツとAが顔見知りだったコト」

田中「…以前、和也様がA様の素性をお調べになられた際、探偵の方から写真を拝見致しました。

その時はご友人か何かだと思っていましたが、虎太郎様が失踪されたあの夜に実際にお会いしたのです。

『大切な家族を探している』んだと…直接、A様のお名前は出ていませんでしたが

彼女にとってご友人'以上'の存在であることは私にも存じました」

和「…」

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『、翔ちゃん……』

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『…少なくとも、あなたより付き合いは長いかと』

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和「…Aは？もう帰った？」

田中「はい。気が動転していたようでしたので、早急に寝室へお送り致しました」

和「そっか」

田中「…和也様、」

和「"例の条件"、絶対言うなよ。Aに」

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自分の発した言葉を遮るように

そう覆い被せた俺へ

彼は、静かにYesの合図を送る。

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田中「…社長は、宜しいのですか？」

和「宜しいって？」

田中「A様を…手放しても構わないのですか」

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戸惑いつつ、田中が申す。

俺の塞がった"気持ち"を開かない強さで、問う。

俺は応える。

和「…構わねぇよ」

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だって、この『契約』は元から……

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和「…始まってなんか、なかったんだから」

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