◆*Unhappy Wedding*◆【K.Ninomiya】Part5 (ページ2)

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ｷｭｯｷｭｯ、

「洗い物はコレでおしまい…っと」

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彼と食べた朝食の食器汚れを

マスカットの香りがする洗剤で落とし

洗濯ホヤホヤなタオルで水分を掬(すく)う。

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「…結局、言えなかったな…翔ちゃんのこと」

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あれから、就寝するまでの時間。

どうにかカズに話せないかと試みてみたものの…

朝陽が登った今の今まで何の進展もなく。動けず。

いや、言うチャンスは幾らでもあったの。幾らでも。

それを私が勝手に台無しにしただけ。

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翔ちゃんに言おう。

私がココにいることも

カズと出会った理由も、全て。

…コレが私が寝不足になってでも導き出した答えだった。

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どうせ黙っていても

何時かは明かされる事実なんだもの。

無い嘘を付いてまで言う瞬間を延ばすより

ずっとずっと良いに決まってる。絶対。

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「田中さんから午前外出の許可も貰ったし！」

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大丈夫。

翔ちゃんならきっと、分かってくれる。

…きっとー………

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ﾋﾟﾘﾘﾘﾘ、ﾋﾟﾘﾘﾘﾘ……

「、電話だ」

その最後の一枚を棚に戻していると

軽やかな着信音が一人ぼっちの部屋に鳴り響く。

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ﾌﾟｯ、

「はい、もしもし…」

『出るのが遅い！ノロマな亀かお前は』

「カズ？！どうしたの、もう会社の中じゃ、」

和『書類』

「え？」

和『俺の書斎にあるだろ。バインダーファイルに入ったヤツ』

「ちょ、ちょっと待って…見てくる」

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携帯を片手に彼に言われた場所には

間違いなく、黒く分厚い目的の品があって。

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和『N113、大講義室』

「…はい？」

和『タクシー代は代理に払わせる』

「、！まさか……」

和『届けろ』

最悪の事態。

私は慌てて彼の命令を拒んだ。

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「私、無理！」

和『…俺の命令に逆らう気か。この暇人女』

「今から用事があるのっ」

和『用事ぃ？バカ言え』

「私だって色々あるんです！メイドさんとかいるでしょ？

悪いけど今日は他の人に頼んで、」

和『嫌だね』

「カズっ！」

和『俺はお前に頼んでんの。使用人は部外者』

「…っ…」

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和『会議は11時、周りにバレずに来い。もし来なかったら…』

"ただじゃ済まねえかんな"

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…何で、こうなるのよ。

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