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「…なにしてんの」
「え、A?!こ、これは」
「……ありえない、もういい、さよなら」
神様は意地悪だ。
人生で初めて彼氏の浮気現場に遭遇した。
しかも、相手は共通の友達。
てか私のパジャマだよね、それ。なんで使わせるかな。
腹が立って、合鍵も貰った指輪も全て置いて彼の家を出た。
それが数日前の出来事。
「まぁ、嫌なこと忘れて飲みなよ。今日は付き合ってあげるから」
「うみが優しい、珍しい」
「おいこら、前言撤回すんぞ」
「あー、だめ!付き合って!」
「はいはい。じゃあ、かんぱーい」
なんて言ってグイッとビールを飲むうみは会社の同期だ。
部署は違うけど、研修で隣の席になってから何故か何でも言い合えるほどの仲良しになった。
全然きっかけとか覚えてないんだけど。
「あー、もうほんと腹立つ」
「どのくらい付き合ってたんだっけ」
「3年、ちょっと?」
「うーわ、それきっついね」
「……ほんとに思ってる?」
「ははっ、ほんとに思ってるって」
そう言ってる割には満面の笑みですけどね、中村さん。
全然気分が晴れなくてどんどんなくなっていくビール。うん、もう一杯頼もう。
「待って、ペース早いから」
「今日は飲みなって言ったじゃん!」
「いや、言ったけどだーめ、ゆっくり飲んで、潰れる!」
「うみの嘘つき!」
「え、もう酔ってんの?(笑)」
「てか宮近は?!」
「仕事溜まってて少し遅れるって」
「くそー、薄情な奴め」
「誰が薄情な奴だって?」
おー、海斗お疲れ。なんてうみの声と同時に当たり前のように私の隣に座った宮近。
彼もまた私の同期だ。
うみと宮近は大学からの友達らしい。
「てかもう出来上がってんの?早くない?」
「まだ2杯目だけどね」
「もー、宮近遅いよ」
「ふふ、ごめんごめん。で、Aの浮気された話はどこまで進んだの?」
「……宮近嫌い」
「冗談だって。ほら、ビール頼んであげるから」
「宮近大好き!」
「単純かよ(笑)」
なんだかんだ言って付き合ってくれるうみと宮近はほんとに優しくて。
良い同期を持ったもんだなと2人を見てそう思った。
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作者名:葵 | 作成日時:2021年10月14日 2時