僕らはどうせ幻だ。 (ページ17)

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12話ページ17

それは2年も前のことだった。

まだ、例の4人は中学生の学生知能というわけで高校には来なかったとき、

日野寺は未夢とすでに身体を合わせるほどの恋人同士になっていた。

未夢はとても明るく元気で、いつも女子と楽しく話していた。

日野寺はそれを影からずっと見ていた。
そしてホッとしていた。
もともと、未夢は引っ込み思案だったらしく、うまく友だちができるか心配だったのだ。

2人は生まれて間もない時からずっと一緒にいた。
何年同じ桜を見ただろう。
何年同じ海を見ただろう。
何年同じ山を登ったのだろう。
何年同じ雪を見ただろう。
何年、身体を重ねたのだろう。

でも、その年だけは、2年前は、例外だった。

教室で喧嘩があったらしく、

何十人もの生徒の前で未夢は…。

集団リンチ、その他もろもろという非常に最悪な行為を受けていた。

「…み、ゆ…？」

その時なんにも喋れなかった未夢の心の中の言葉は
「見ないで。見ないで。

　大輔！！

　みな…いで。」

それからというもの、男という存在が少々苦手になったらしく、(日野寺は例外)
それと同時に大きな傷を負ってしまったため、半年もの間、家の中で何も食べず、寝ずに、ずっとずっと壊れた人形のように動かなかった。
いくら不老不死でも、食べて寝ておかないとかなりの負担がかかってしまう。

「…はぁ、今年の海は中止だな。」

日野寺は紅葉も散り始めた10月の後半に未夢の家に行くことにした。

日野寺「…未夢。」
部屋は荒れ、未夢は毛布一枚でずっと震えていた。顔は痩せこけ、口はただぽっかりと開いていた。

日野寺は未夢をそっと抱きしめた。

日野寺「大丈夫だ。おれはここにいるよ。おれは未夢に悪いことはしない。絶対に。」
未夢はカタカタ震えながら、泣きながら、日野寺にすがりついた。

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日野寺「だから、本音を言ってくれ。あの時のように助けを求めてもいい。俺は

　あんたがいてくれないと困るんだ！！」

未夢「…うん。もしも…もしも、またあの時みたいにパニック症状を起こしたら、助けてくれる？」

日野寺「あぁ。俺が守る。いや、守りたいんだ。だから俺に身を委ねてくれ。」

未夢「あ…。」

そして未夢は微笑んだ。

未夢「うん。…ありがとう。」

つぎの日、手芸部の部員が1人加わったのは言うまでもなかった。