すのハウス

群青に泳ぐ金魚４ ページ46

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「照のいちご？」

岩「食べる？」

「…ん…甘」

岩「お前のも甘いじゃん(笑) 」





境内の裏で、もうすぐ始まる花火の場所取り。


シロップで舌を真っ青にしたAは

まるで子供みたいにはしゃぐ。






岩「俺はいつでも…

一番にAの力になりたいって思ってるよ」



なんの前触れもなく突然に発した俺の一言に

Aは目を丸くした。





岩「でもま、結局Aは

いつも自分でどうにかしちゃうから…

俺の出る幕ないんたけどね」





…そう

だからそれよりも俺は…





「…ふっかが心配？」

岩「……」




考えてることすべてが見透かされてて

やっぱAってすげえな、って思わず笑みが溢れる。



そんな俺を見てAは続ける。






「私とふっかが溺れてたら…


照は迷わずふっかを助けるでしょ？」

岩「…いや、それはさすがに…(笑) 」




Aを助けるよ、

そう言いかけて俺は口を噤んだ。




Aにはきっと

手を伸ばしてくれるヤツらがたくさんいる。



でも


ふっかが溺れてることに気づいてやれるのは

ひょっとしたら俺だけなのかもしれない。







岩「…俺は2人とも助けるよ」

「ふふ、頼もしいねえ(笑) 」





ふっかは…いやふっかとAは

目には見えないなにかに縛られてる気がする。





それが何なのか


俺は知らないし

聞く気もないけど、





岩「…そういえば覚えてる？

昔、まだ俺達3人で暮らしてる時さ」

「あ、ふっかがやらかしたやつね(笑) 懐かしいな〜」







ノー天気なアイツらと楽しそうに生活してるうちは


別に触れる必要もないよな、って今は思ってる。

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