根も葉もない噂 ページ29
「さすが智くん、見てないようでちゃんと見てるよね……だけど、菅原さんがさ……ちょっと気になること言ってたんだよね？」
雅紀はそう言いながら運転手席に座る、智も助手席に座った。
「何？」
智の問いに、雅紀は少し悩んでいるような言いづらそうな雰囲気を漂わせ口を閉じている。
そんな雅紀の雰囲気を感じたのか、智は優しく目じりを下げ口を開いた。
「風山智の連載を打ち切りますよとかって言われた？」
智の言葉に、雅紀は目を見開いて智を見つめる。
「そっか……ごめんね、オイラと出版社の話に巻き込んじゃったね……実はさ、他の出版社から誘われててね、どうしようかって悩んでたんだ……それがさ変に噂になってそんな打ち切りなんて話出てないんだけど、噂になってるらしいだよね」
智の言葉を聞きながら、雅紀は車を発進させた。
「それで、どうするの？」
「うん……オイラを拾ってくれた前の部長はもう辞めちゃってるしさ、別に恩義はないんだけど、あの会社の考え方は嫌いじゃないんだ、たださ今回スガちゃんの事がちょっとね、オイラの大事な雅ちゃんをこんな風にさ、ちょっと怒っちゃうよね」
智はそう言いながら、雅紀の左手を優しく触る。
「やめてよ、今回の事は俺も悪かったんだよ、もっとちゃんと強く嫌だって意思表示してれば良かったんだ、だからさ、俺の事は抜きにして智くんは自分にとって楽しいって思える道を選んでよ、ね！」
「楽しい…か……そうだね、もう少しちゃんと考えてみる……あのさ、雅ちゃんがスガちゃんに強く言えなかったのは、今回の個展の事があったからだよね？……本当にごめんね、後で社長直々に電話しておくから」
「ええ？いいよ、そこまでしなくても……」
「いいのいいの、オイラがそれじゃないと納得できないもん、後、嫌な事があるならちゃんと言ってよ、オイラだって兄貴としてちゃんと考えるから」
「何言ってんの？俺はいつだって智くんの事、頼りになる兄貴だって思ってるよ……でも、うん、今度はちゃんと話すね」
雅紀の言葉に、智はニコニコと温かい笑顔を浮べていた。
車は人通りの多い街中を通り過ぎ、徐々に緑の多い静かな空間へと入り込んでいく。
まだ晩御飯の支度には早い時間だったが、途中スーパーに寄り、智と雅紀は買い物をして家へと帰宅した。
雅紀はソファーに座りながら傷の手当を智にしてもらっている。
巻かれた包帯が痛々しく白く浮き上がっていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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海月(プロフ) - 和春さん、そ言っていただけるとうれしいです。新作が出来たらまたよろしくです (2012年12月23日 23時) (
レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ａｏｉさん、最後まで読んでくださってありがとう。また新作でもよろしくです。 (2012年12月23日 23時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 大好きな風山家、終わってしまうのは悲しいですが新作も楽しみにしてますね！ (2012年12月17日 21時) (レス) id: bbbec70c02 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ナミさん、ありがとうございます。そう言っていただけると書く意欲がわきますよ。新作が出来たらまたよろしくお願いします (2012年12月17日 15時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - お疲れ様でした！！！素晴らしい小説ありがとうございます！！！大好きです>///<新作も楽しみにします>_<本当にありがとうございました！！！ (2012年12月17日 14時) (レス) id: a2fedde7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2012年10月15日 19時
