家に帰ると ページ14
智と雅紀の個展は、智が連載を持ってる雑誌の出版社主宰で行われる。
雅紀は帰宅してすぐに、リビングで智のイラスト集を見始めた。
「じゃあ、俺は仕事まだあるから行くけど、ちゃんといい子にしてろよ」
潤はそう言いながら、本を捲る雅紀を見ながら玄関へと向かう。
「わかってるよ、俺もこっちの方、手をつけなきゃなんないし、智くんが帰ってきたら仕事の相談しないとね……潤、今日はありがとうね、いってらっしゃい」
雅紀は本を見たままそう言うと、手だけ上げて潤に振った。
潤は「いってきます」と言い、家を出て行く。
雅紀は本を閉じるとテーブルの上に置き、ソファーに体を深く沈め天井を仰いだ。
何見ているのか、真っ直ぐに視線を動かさないまま溜息をつき、体を起こすとまた本を手に取り開いて見始める。
本の中身は、繊細な線の中に躍動感があり、色の少ない世界なのにそこに色彩を感じる独特の雰囲気。
雅紀はそんな絵を見ながら、一人楽しそうに笑っていた。
智は打ち合わせを終え、出版社の車で家まで送ってもらう。
「本当は雅紀さんとも話したかったんですが」
今回の個展を担当している星川が運転をしながらそう話した。
「ごめんね、雅ちゃん、今日退院だからさ……もう少し体調が安定したら話せると思うから」
「約束ですよ、そうじゃないと僕が菅原部長に怒られちゃいます」
「スガちゃん、雅ちゃんファンだもんね……今回の企画もスガちゃんが押して形なったって聞いてる」
「狙われてるって噂がありますよ、あの人独身ですから」
「狙うって……雅ちゃんを？」
「ええ……そう言えば最初は智さんを狙ってたって聞いた事がありますけど、本当なんですか？」
「無いよ、そんな事、それにね雅ちゃんと関わる女の人はそういう噂になりやすいんだ、かえって可哀想だなって思うほど」
「へ〜、そうなんですか」
星川はそう言いながら、ルームミラーに映る智の顔を見る。
智は少し困り顔で苦笑していた。
「それではまた打ち合わせの時に」
星川はそう言うと、車を走らせその場を後にした。
家に向かう智の足取りは軽いように見え、顔も微かに緩んでいるように見える。
玄関のドアを開けるとそこには雅紀のスニーカーが置いてあった。
智はそれを見て穏やかに微笑むと、家へと上がっていく。
「ただいま〜」
そう言いながらリビングへ入っていくと、ソファーで雅紀はうたた寝をしていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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海月(プロフ) - 和春さん、そ言っていただけるとうれしいです。新作が出来たらまたよろしくです (2012年12月23日 23時) (
レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ａｏｉさん、最後まで読んでくださってありがとう。また新作でもよろしくです。 (2012年12月23日 23時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 大好きな風山家、終わってしまうのは悲しいですが新作も楽しみにしてますね！ (2012年12月17日 21時) (レス) id: bbbec70c02 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ナミさん、ありがとうございます。そう言っていただけると書く意欲がわきますよ。新作が出来たらまたよろしくお願いします (2012年12月17日 15時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - お疲れ様でした！！！素晴らしい小説ありがとうございます！！！大好きです>///<新作も楽しみにします>_<本当にありがとうございました！！！ (2012年12月17日 14時) (レス) id: a2fedde7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2012年10月15日 19時
