原因なんて無いに等しい ページ36
「潤ちゃん」
雅紀が潤の手を掴む。
「ん？」
「今は大野智であって東雲知美じゃない、だから別人として話してよ」
雅紀はそう言って優しく微笑んだ。
「そうだな……智くん悪かった」
「別に大丈夫だよ、まあ確かに雅紀とこっちで会った時はさすがにパニック起こしたけど、今は自分の中で整理できてるし」
智はそう言うと、自分を抱きしめている和也の上目遣いで見つめニッコリと笑う。
和也はその笑顔に苦笑いを浮かべるしかなかった。
「それで、その後、どうなったんだ？その直系の息子とかってのは、雅紀の事を良く思ってなかったんだから、その東雲知美という女性は人間だし、それを理由に余計に腹を立てたんじゃないのか？」
翔はあえて東雲知美という名前を使ってそう聞いた。
「たぶんね理由は何でもよかった、あの翡翠の君の息子、悠月にとって、雅紀が人間の女性を好きなった事は都合が良かった、雅紀を迫害してその雅紀を溺愛している親父へ反旗を翻す理由づけになったんだから……東雲知美はいわば被害者、そんな貴族同士のいざこざに巻き込まれてしまったんだから」
潤は智を見つめてそう言う。
そんな智は雅紀を静かに見つめた、その瞳は何か懐かしむようであった。
「知美……トモは、純粋で無垢だった……大ちゃんは覚えてるかな……大ちゃんとは違って声を出す事が出来ない子で、でも動物たちとは話すのが上手でさ……大ちゃんとの大きな違いは……怖がりだって事……だからね、俺の中でのトモと大ちゃんはまるっきり別人……なんだよ」
雅紀はそう言いながらゆっくりと向きを変えて智の横にいる和也の方を見つめる。
和也の方はそんな雅紀を少し驚いたように見ていた。
「純粋無垢な血は吸血鬼の大好物、悠月の契約者たちの標的になった……もちろん雅紀は知美を守るのに必死だったよ、ある日それまで息子たちの行動に口出しをしなかった翡翠の君が、雅紀と知美を悠月の契約者たちから守ったんだ、その行動はそれまで人間を蔑んできた吸血鬼達の怒りをかった、てか、そいつらはその時が来るのを待ってたんだろうな、そして翡翠の君もそれを知った上で、その今の現状を変えたいと思ったのかもしれない、だからこそ行動に出たのかもな」
潤はそこで一つため息をつく。
「……時裂の戦い」
和也の口から微かに漏れてきた言葉。
「もうあの時が何がどうしてそうなったのか、きっと渦中にいた連中も分らなかったと思う、きっと原因なんて無いに等しかったんだよ……」
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潤雅 - この相葉くんかっけ〜！ (11月19日 1時) (
レス) @page23 id: 11f5c1be2c (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - れにゃさん、コメをありがとうございます。楽しみにしてくださっていたとの言葉、とても嬉しいです。いつになるかわかりませんが、新作が出来たらまたよろしくおねがいします。 (2016年5月30日 8時) (レス) id: 1f4e5d070f (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ちぃちぃさん、体調の事心配してくださってありがとうございます。今の所元気に毎日過ごしています。いつになるかわかりませんが、また新作ができたときにはよろしくお願いします。 (2016年5月30日 8時) (レス) id: 1f4e5d070f (このIDを非表示/違反報告)
れにゃ♪ - 完結 おめでとうございます(*^▽^*)/
いつも、海月さんがお話の更新されるのをすごく楽しみにしていました!!
また 新しいお話が更新されることを楽しみにして 待っています！
(2016年5月21日 10時) (携帯から) (レス) id: 3190274a8b (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちぃ(プロフ) - 海月さんの作品大好きです。また新作更新お待ちしてます！お身体大事になさって下さい。 (2016年5月20日 23時) (レス) id: 85cdc6f2b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2015年10月1日 14時
