驚異的な力の反動 ページ28
その時だった、雅紀の腕が伸び、翔の傷ついた方の手を掴む、もう血は止まっていた。
翔はその感触に目線を落とした、そこには碧の瞳が揺れ、無理に微笑む雅紀がいた。
「雅紀！」
弱々しく握ってくる雅紀の手を翔は左手で握りしめる。
「……しょ…ちゃ…つっ…てぇ……どじった〜……ごめ…はぁはぁはぁ」
「何言ってる？、俺の方こそ油断してこのざまだ、お前を危ない目に合せた」
「はっあぁ……くっ……はぁはぁはぁ…………お…れ……だい……じょ……」
「あまり話すな、とりあえず家に帰ろう、カズに電話する」
潤は雅紀の顔を覗き込んでポケットからスマホを取り出す。
「だめ！……あっ……つ…く……あっはぁはぁはぁはぁ」
雅紀は握っていた翔の手を放り出すと横になって体を丸め、地面に爪を立てた。
「雅紀！？」
潤はそんな雅紀の手を握り締め、背中を擦る。
その熱さに潤は目を見開いた。
「お前、すごい熱」
「はぁはぁはぁ……あ…カ…ズと……お……ちゃんに……しん…ぱ……」
「何言ってるんだ、火傷は軽く済んだとはいえ、一時は心臓が止まっていたんだぞ、昔だってしばらく左腕動かなかったじゃねえか、それを考えたら今回だって」
「……しょ…ちゃ…の……おかげ…だいぶ……らく……な……た…か」
雅紀はそう言うと、地面に手を付いて無理矢理に自分の体を持ち上げようとする。
「俺のおかげって、そんな体で楽になったって嘘つくんじゃねえよ……それにあの家以外に何処に帰るってんだ？」
翔はそう言いながら起き上がろうとする雅紀の体を抱きしめた、そして気付く、先程まで焼けただれていた肌がもう乾き始めていることに。
今までも雅紀の治癒力を見てきてるが、これだけの驚異的な速さを見るのは初めてだった。
「あと…すこ…し……だか……ら……くっ……だ…じょぶ」
「反動……ったく、力を使い過ぎだ……雅紀、もうよせ、これじゃあお前の体がもたねえ」
潤の言葉に雅紀は弱々しく微笑む。
「…くっ……ほら…ね…やけど……消えたはぁはぁはぁ」
雅紀はそう言いながら脱力し翔の腕に体重を預けた。
翔は雅紀の体を優しく仰向けにして体を支える、目を閉じ苦しそうではあったが呼吸はしている。
本当に火傷は消えてしまっていた、だが火傷の痕は紫の痣になっていた。
「これって、雅紀の肩にあるのと似て……あっ！……もしかして、昔紅蓮の君に助けられたって話」
翔はそう言いながら潤の顔を見る。
すると潤は微かに頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 433人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
潤雅 - この相葉くんかっけ〜！ (11月19日 1時) (
レス) @page23 id: 11f5c1be2c (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - れにゃさん、コメをありがとうございます。楽しみにしてくださっていたとの言葉、とても嬉しいです。いつになるかわかりませんが、新作が出来たらまたよろしくおねがいします。 (2016年5月30日 8時) (レス) id: 1f4e5d070f (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ちぃちぃさん、体調の事心配してくださってありがとうございます。今の所元気に毎日過ごしています。いつになるかわかりませんが、また新作ができたときにはよろしくお願いします。 (2016年5月30日 8時) (レス) id: 1f4e5d070f (このIDを非表示/違反報告)
れにゃ♪ - 完結 おめでとうございます(*^▽^*)/
いつも、海月さんがお話の更新されるのをすごく楽しみにしていました!!
また 新しいお話が更新されることを楽しみにして 待っています！
(2016年5月21日 10時) (携帯から) (レス) id: 3190274a8b (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちぃ(プロフ) - 海月さんの作品大好きです。また新作更新お待ちしてます！お身体大事になさって下さい。 (2016年5月20日 23時) (レス) id: 85cdc6f2b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海月
| 作成日時：2015年10月1日 14時
