紅の企み ページ26
「お前、隠れて見てただろ？……そしてここぞって時に出てきて恩着せがましく助けるって？」
潤は紅蓮の君を睨みながらそう言う。
握った手からが湯気がたち、焼けた臭いが漂っていた。
「ばれてた……か」
紅蓮の君の表情に先程までの焦っている様子が少しもなく、ひょうひょうとした表情を浮かべているだけだった。
「昔もそうだったよな？……雅紀がお前の親友を殺したにも関わらず、お前は雅紀を助けた、今後の事を考えて、お人好しで義理堅いこいつを利用しようとしたんだ、しかも忘れないようにご丁寧に痣まで残してな」
潤の言葉に紅蓮の君はクククと軽く笑うだけ。
「だから、どうだって？……そんな事、今ダラダラ言っていてもいいのか？一か八かの賭けだとしても、今雅紀を助けられるのは俺だけだ……さあ、どうする？」
紅蓮の君の挑発的な言葉に、潤は一瞬鋭く瞳を光らせるが、すぐに視線を翔へと移す。
「翔くん悪い、翔くんの血、少し分けてくれないかな？雅紀のために」
潤のその言葉に、翔は不思議そうな顔をしたが、何せ状況が切羽詰まっているだけに考えている暇はない。
翔は急いで立ち上がると、雅紀の刀を地面に突き立て、左手で刃を握りしめた。
銀の刃を伝って血が流れ落ちる。
「……あわよくば事故でした、不可抗力でしたって？……吸血鬼狩りをする者を組織の幹部である上級吸血鬼が殺すなんてもってのほかだからな……もしも雅紀の命が欲しいなら組織から除名になる覚悟でやれや、ま、その途端、お前はお尋ね者になるけどな」
潤のその言葉に紅蓮の君は苦笑いを浮かべた。
「……ハハハ、俺はそこまで馬鹿じゃないよ、じゅ〜んちゃん」
紅蓮の君はそう言いながらまた軽く笑う。
この紅蓮の君という吸血鬼は何を企んでいるのか、付き合いの長い潤でさえ掴めないのであった。
「これでいいのか？」
翔が潤の横まで来て、傷ついた手の平を見せる。
潤はそれまで握っていた紅蓮の君の手を払う様に放すと、翔の手首を握ってその場に座らせ、そのまま雅紀の胸にある十字架の上に持ってきた。
手の平から血が落ち、血痕の上に落ちる。
「紅の！お前の出番だ、早くしろ！……他の奴らにやられるなんてお前のプライドが許さないだろ」
潤の威圧的な言葉に、紅蓮の君は舌打ちをして不機嫌そうな表情を浮かべたが、雅紀の胸に手を翳し自分の血を落とした。
真っ赤な血が広がって行くとともに湯気が立ち始め、焼けただれて行く。
十字架型の血痕は同時に消えて行った。
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潤雅 - この相葉くんかっけ〜！ (11月19日 1時) (
レス) @page23 id: 11f5c1be2c (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - れにゃさん、コメをありがとうございます。楽しみにしてくださっていたとの言葉、とても嬉しいです。いつになるかわかりませんが、新作が出来たらまたよろしくおねがいします。 (2016年5月30日 8時) (レス) id: 1f4e5d070f (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ちぃちぃさん、体調の事心配してくださってありがとうございます。今の所元気に毎日過ごしています。いつになるかわかりませんが、また新作ができたときにはよろしくお願いします。 (2016年5月30日 8時) (レス) id: 1f4e5d070f (このIDを非表示/違反報告)
れにゃ♪ - 完結 おめでとうございます(*^▽^*)/
いつも、海月さんがお話の更新されるのをすごく楽しみにしていました!!
また 新しいお話が更新されることを楽しみにして 待っています！
(2016年5月21日 10時) (携帯から) (レス) id: 3190274a8b (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちぃ(プロフ) - 海月さんの作品大好きです。また新作更新お待ちしてます！お身体大事になさって下さい。 (2016年5月20日 23時) (レス) id: 85cdc6f2b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2015年10月1日 14時
