優しいって何？ ページ9
一番仲のいい友達は２人。
その子たちのおかげで、中学後半はそれなりに楽しい時間を過ごすことができた。
修学旅行も孤立することなく楽しい時間を過ごせたのを覚えている。
３年のある日、いつもつるんでいた仲間の一人、保育園時代に一番仲の良かった子にこんな事を言われた事がある。
「ボクくんは、優しいよね？こんな優しい人はこの世の中、探してもあんまりいないと思う」
この言葉を言ったその子は、嘘をつくような人ではないし、とても頭のいい良い人。
だけど、ボクは「ありがとう」と言いつつ、心の中では喜んでいなかった。
優しい？
ボクは優しいわけじゃない、ただ嫌われたくない。
それがボクの本心だった。
嫌われる、という事を怖がっていた。
また孤立してしまう事を恐れていた。
だから、人に合わせて作り笑顔を浮かべて、周りの表情を伺うのが日常だった。
もう沁みついてしまっていて、本当は違うと思っていても言わないという選択をすることに慣れてしまっていた。
それがボクの普通だった。
「ボクくんは優しいね」、この言葉は今でも頭の片隅にこびりついてる。
そんなボクの努力？なのか、生きるすべ？のかいあって、その後の中学生活は、それなりの苦労はあったものの、平和に過ぎていく。
中学３年、受験の時期を前に、周りは勉強の虫に変貌。
ボクだけはのほほんと時間を過ごしていた。
なぜかって？
ボクの進学先は、進学高校の定時制だったからだ。
全日制に入れなかったわけじゃない。公立校も入れそうなところもあった、けれど、受験先を決める時点で親にこう言われてしまったんだ。
「努力してもそこしか入れないのなら仕方がないけど、お前は怠けていてその程度なんだから、定時制でいい」
これが父親の言葉だった。
ボク自身も全日制でやっていけるかどうか不安しかなったし、人数が多い全日制よりまだましかもしれないと心の中で思っていた。
ただやはりどこにいくにも新しい場所には不安しかなかったの確かだ、だけど中学で少しだけ友達の良さを知ったボクは、高校にも希望を持てるようになっていた。
そして細やかだけれでも、たぶん絶対になれないけれど、誰の影響も受けず、誰の機嫌をとることもない所でもの、夢。みたいなものも芽生えていた。
そしてついに高校の受験日。
定時制は面接だけで、それなりにこなせたような気がしていた。
なので、まあ、あたりまえかもしれないけど、定時制には無事合格。
新しい生活の始まりである。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海月(プロフ) - はじめましてグリーンピースさん。感想ありがとうございます。驚くなんて、全然大丈夫ですよ(笑)。楽しみにしてくれているという言葉。とても嬉しく思います。更新が滞ってしまうことも多々あるかと思いますが、これからも立ち寄って下さいませ。よろしくお願いします。 (2019年5月24日 5時) (
レス) id: 8bd65f83d8 (このIDを非表示/違反報告)
グリンピース(プロフ) - 作品を読み進めていくうちに、少し安心しました。勝手ながら共感したりしてました。お話の続き楽しみにしてます。 (2019年5月15日 14時) (レス) id: e649432f4c (このIDを非表示/違反報告)
グリンピース(プロフ) - 私は小さな頃から「◯◯が、したい」ではなく「◯◯で、いい」と言う子どもで母からよく言い方を直されました笑 社会人になりましたが今の自分が「◯◯がしたい」と具体的な欲がなく仕事もその性格が邪魔をして悩んでいます。そんな時にこの作品に出会いました。 (2019年5月15日 14時) (レス) id: e649432f4c (このIDを非表示/違反報告)
グリンピース(プロフ) - 読みました。海月さんの作品も好きで全部読んでいます。陰ながらいつも応援させて頂いてます。今回初めて感想を送ったので、驚かせてしまったら、すみません。 (2019年5月15日 14時) (レス) id: e649432f4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海月
| 作成日時：2018年11月19日 14時
