†第三十二話† 悪戯 ページ34
イトナ「･･･？」
イトナの額に俺の額をコツンとあわせる。
間近で見る金色の瞳は俺の姿を鏡のように写し出していた。
ー俺の瞳には、イトナが写ってんのかな。
そう考えた瞬間、トクンと心臓が小さく跳ねる。
前もイトナを見ていて心臓が高鳴った時があった、それはイトナの瞳の奥の昔の俺と似ている暗い感情を読みとったから。
けど今はあの時と状況が違う。イトナにはもうあの時のような感情を持ってない。
ーじゃあこれは、何でこんなに心臓が落ち着かないんだろう？
イトナ「･･･河崎、どうした？」
「A･･･。Aって呼んでくれ、イトナ」
イトナ「･････A」
「もう一回」
イトナ「･･･A。河崎A」
「あともう一回」
イトナ「･････もう言わない」
ぷぃっとそっぽを向くイトナ。
心なしか耳が赤くなっている気がして、俺はくすりと笑う。怒っているのかとも思ったが、イトナは抱きしめている俺の腕を離そうとしない。
ただ単に照れくさかっただけなのだろう。そんなイトナの頭を撫でて、こめかみに小さく口付ける。
イトナ「ーーー！河崎っ！」
真っ赤な顔で振り向くイトナ。
怒っているだろうイトナのその表情がたまらなく愛しい。もう一度、今度は額にキスをしようと思った矢先に頬をつねられる。
イトナ「･･･河崎、離せ」
名残惜しさを残しながらも俺は抱き締めたままだったイトナの体を離す。
「なぁ、イトナ。一つ俺の言うこと聞いてほしいっていったじゃん。それさ、俺の名前を呼んでほしかったんだ」
イトナ「････何故？」
「･･･俺はさ、親しいヤツにさえ名前で呼ばれたことなかったんだよ。だから親しいヤツに名前を呼ばれることがすごく羨ましかったんだ。」
「それで今イトナが初めて俺の名前を呼んでくれた、ありがとな」
イトナ「･･まて、河崎には･･･」
「A」
イトナ「･･･A、お前には友人がいたはずだ」
ー友人、あぁ俺には友人がいたさ。そいつは喋ることが出来なかったけどな。
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一颯(プロフ) - 同性愛ものには専用のフラグを立ててください。 (2016年4月18日 3時) (
レス) id: 050c8f6d1c (このIDを非表示/違反報告)
クロウサギ(プロフ) - この作品の続編見たいです!! (2015年5月18日 4時) (レス) id: 29761c99ab (このIDを非表示/違反報告)
緋腹 - この話をみてイトナ君が好きになりました！アザス！！(´∀`*) (2015年5月9日 0時) (レス) id: 5e74d9c177 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - 今は………それが、お互いの為だろうからな。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - やはり無理か……………。いや、いいんだ。多分、最初から分かってた事だと思う……………今はまだその時じゃないってことは。あいつ自身が心を開くまでには、時間がかかると思う……………だからゆっくり待とう。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみしお | 作成日時：2015年4月19日 21時
