17 ここに居る ページ18
Aside
ずっと走ってた。時間感覚なんてとっくの前に麻痺してる。なんでいないんだろう。
あの子は私のそばに居たのになぁ、、、
足だって最初は針のように突き刺さる冷たさを我慢してずっとずっと走ってたけど人間にだって体力の限界はあるんだ。それが身内の危機だとしても。
『舞楽ぁ、ひっく、舞楽、お姉ちゃんのせいなんだ、ごめんね』
まだ雪が降っている。目から溢れる涙は生暖かいがこの冷えた体を温めるには不十分だった。
走れなくても、どれだけ体が痛くても、歩くことは出来る。
ゆっくり歩いていたら舞楽の声が聞こえてきた気がした。
ーお?ちゃ?が僕??けてくれ?はずだ?どー
舞楽が、不安そうにしている。それと同時に微かな魔力を感じた。さっきまで入らなかったはずの力が足に戻った。
『舞楽!!!』
魔力が残っていた場所に行くとそこには舞楽の魔力、と違う魔力があった。
『誰、誰、誰?』
誘拐されたのではないかと不穏な考えが頭をよぎる。そのまま舞楽の魔力を辿って走っていった。
その先にあった。大きな屋敷。ここに舞楽は
『居る』
嬉しそうに、だが同時に自分でも驚くような低い声が出た。
『ここにもしかしたら舞楽以外の奴。下手したら誘拐した奴がいるかもしれない』
あの魔力量からして相当の大物。でもいい。舞楽さえ助かるなら手足がもげたって、目が千切れたっていい。
私は静かにドアをノックした。殺気を出さないように。
コンコン
無機質な音が森に響く。
?「はーい!」
ドアの向こうから聞こえた間抜けな声。ドアが開いた瞬間に、ドアの隙間から部屋に侵入した。
?「!?!?先輩方!!!」
後ろから聞こえる焦ったような声。少し暖かい床が傷が付いた足を温めていく。
あの部屋に、居る。私の弟が。目の前に先程見たような骨が何体か来た。
『お届け物でーす』
殺気を帯びた声で私は森で見つけた先の鋭い枝をそいつらに突きつけた。
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