あざとい天使。(緑) (ページ39)

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家に帰ると、

｢あ、そういえばもう1つ報告があって｣

って思い出したかのように言うから。

『え？まだあるの？』

ちょっと身構える。

｢うん、あのね。俺天使じゃなくなったの｣

『………へ？』

｢人間になっちゃった｣

でもこれでAと同じだね？

戸籍も出来て保険証も作れたんだよ、なんて保険証を見せてくる。

『…………え？？？羽は？もう飛ばないの？え？天界にはもう行かないってこと？え？』

思わずパニックパニック。

｢うん、そう、もう飛べない。それがちょっと不便だよねえ｣

でも当の本人はちょっと残念、くらいの至って普通のテンションであっけからんとそう言うからついていけなくて。

｢……A、天使の俺の方が良かった？今の俺、興味無い？｣

なかなか反応しない私に不安になったのか、そう聞かれるけど、いや、そういうことじゃなくて。

『全然！天使でも人間でも、亮平は亮平じゃん。…え、そうだよね？』

｢いやそこで不安にならないでよ。うん、俺は俺だよ？｣

って首をこてんっていつもみたいに傾げるから、うん、これはやっぱり亮平。

『じゃあ、大丈夫。好きだよ、人間の亮平も』

それでも気になることもある。

『…でも良かったの？』

天使と人間なんて、天使の方が良いに決まってる。

どういうシステムで人間になったのかはさっぱり分かんないけど、人間になれば不便なことなんてきっと沢山あって、それに思い入れもあるはず。寿命だって短くなったんじゃない？

そんな気持ちを込めて問えば、

『でもAと一緒嬉しい』

これでずっと一緒だよ？って微笑まれるから。

『………すき！』

たぶん一生、亮平とこの先過ごしていくんだろなって。

｢ふふ、おーれも｣

だいすきだよ、って耳元で囁かれる。

あざとい天使と私の生活は、まだ序章。

これからもきっと、幸せな日々が待ってるはず。

Fin