Jack of all trades (ページ7)

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宮近「おはようございます」

タメで話せ、そう言われたものの、自分はまだこの部署に配属されて4日しか経っていないのだ。
仕事の内容は多方理解出来たが、メンバーとの壁は厚いまま。
それに加え、俺が入ってから一度も仕事をしていない。

慣れないパソコンを何とか使い、地道にデスクワークをこなしたり、元太に誘われて人生ゲームを仕事中にやったりという謎の日々を過ごしていたそんなある日、突然仕事はやって来た。

『捜査第五課へ出動命令．鬼木村にて殺人事件発生．直ぐに地図を送ります．』

いつもとは全く違った室内の雰囲気に思わず飲み込まれてしまいそうになる。

川島「今回の事件は…ぅーん、海人、宮近くんと行ってくれる？」

あのことがあって以来、俺はまともに海人と顔を合わせていない。
俺が来た時には既に部屋に居て、帰る時も最後まで残っているからである。
流石の元太も少し心配しているようだった。

松田「如恵留、今日は俺が行く、」

宮近「えっ、」

中村「いや、いい。俺が行く。」

松田「海人！」

突然現れた海人に驚く俺を他所に、彼は元太になにか指示を出している。
その顔は少しやつれていて、相当無理をしたのだろうな、と思うには十分だった。

宮近「駄目だよ海人、だってそんなに疲れた顔して。最近ずっと残ってたみたいだし、寝てないでしょ！」

何とかして止めようと必死に声を掛けるが、海人は俺を少し睨んで部屋に戻って、大きな鞄を抱えて外へ出て行った。

如恵留さんが俺の肩にそっと手を添える。

川島「大丈夫、海人は一度決めたら絶対にやり通す人だから。そういう奴だから。心配しないで、行っといで！」

何故この人の言葉はこんなにも温かいのだろう。
何故この人の言葉には納得してしまう何かがあるのだろう。

不思議な、温かなその気持ちを胸に抱き、俺は初仕事に向かうため、重い扉を押し開けた。

省略

「亡くなられたのは佐久典文さん、男性。死因は出血多量。死亡推定時刻は今日の午前2時頃。腹部と胸の辺りに刺されたような跡があり、何者かによって殺害されたものと思われます。」

何の変哲もない公園の隅。
パシャリ、パシャリとシャッター音とフラッシュが止まない現場で、俺は久々にご遺体に手を合わせた。
見せてもらった写真を何枚かじっと見詰める。

『写真は動かぬ証拠を何時でもそこに映している。一見何も無いように見えても、真実は必ず見つかる。』

じいちゃん、俺絶対に犯人見つけるよ。