File.02_02 ページ19
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海人の肩を優しく叩き、少し大きめの声でそう尋ねると、まん丸の目が俺を捉えた。
中村「え、何も聞いてないけど、今何時？」
松田「九時、半」
海人は小さく マジか と呟き、スマートフォンを手にする。
俺も釣られて自分の携帯を見て、お互いに連絡が入っていないことを確認した。
中村「今日宮近って出勤午後からだよね」
目を細めて当番表を見た海人は、白衣を脱いで自分のデスクに向かう。
松田「珍しいね、こっちのデスク使うの」
中村「こっちのパソコンがそれ用なの。」
彼のデスクに置かれている写真立ての中の写真は、まだ一度も見た事はない。
いつか見れないかな、と頭の片隅でそんなことを思いながら、海人のキーボードを打つ手をぼんやりと眺めた。
中村「如恵留くんのGPS」
ほらここ、と指を刺された白いマーク。
何時の間にGPSとか付けたんだ…？
一つ恐ろしいことに気付いてしまったが、今はそれどころでは無い気がして、画面に集中する。
ドラマや映画でよく観る、港沿いの倉庫。
その中の一つに如恵留の居場所を表すマークが点滅していた。
松田「如恵留は此処に居るってこと？」
中村「多分そう。」
何か事件の調べ物で立ち寄ったのならば連絡が来る筈だし、一番時間や情報の共有に口煩い彼が何も言ってこないのは不自然である。
中村「そして俺の予想が正しければ、」
松田「如恵留は監 禁でもされてる」
俺が海人の方を向くと海人も俺の目を見て、こくりと頷いた。
中村「宮近には連絡しとくから元太は樹くんに車出してもらうように言って。」
スマホでちゃかに連絡をしながら海人が俺に言う。
甘えん坊とかヒモとか言われながら、何だかんだ頼りになるから海人って人は本当に狡い。
松田「了解。」
さて、囚われた課長様の救出作戦、実行しますか！
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作者名：ちゃっぴ | 作成日時：2021年4月8日 17時
