STORY_01 ゆめのはざまで ページ15
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K.Nakamura
話すべきだろうか。
それとも、隠し続けるべきだろうか。
恐らくずっと隠し通すことは不可能であるから、いっその事今日にでも言ってしまおうか。
過去．
医者『貴方に特殊能力があることが分かりました。』
初めてそう言われた時、頭が真っ白になった。
何も考えられなくなって、本気で夢であれと思った。
この世界の人口のうち約1割程、特殊能力を持つ人間がいるらしい。
そんな話を聞いたのは、小学校の高学年の頃。
その頃は、かっこいい！ とか言って笑っていた。
まさか自分が能力持ちだとは思わなかったのだ。
まさか自分が、人一人を自由自在に操れるなんて、思ってもみなかったのである。
昔なにかの本で読んだ。
能力持ちは、人外である。
恐ろしい化け物である、と。
能力狩り、なんて事もはるか昔にあったらしい。
親はその日から俺に口を聞いてくれなくなり、お金のことも、食事のことも、全てを放棄した。
自分は普通の人間じゃないんだ。
化け物なんだ。
何度も死 のうと思った。
でも、死 ねなかった。
何故だろう。
その時、俺は初めて親を恨んだ。
俺の、中学の頃の話。
現在．
宮近「ねえ、海人」
明日休みだよね、空いてる？ なんて訊かれて、空いてないなんて言える訳が無い。
如恵留くんには休むように命じられてるし、元太は今度の休みで仕事に来たら俺の漫画全部没収するとか言ってたし、何よりそれらの全てを海斗が聞いていたからである。
中村「暇、だけど。」
良かった！ そう笑った海斗は、一枚のビラを俺に押し付けて颯爽と帰って行った。
【能力狩りの惨劇 〜異能力者達は何を見たのか〜】
暗い色合いの紙に、如何にも深刻そうに刻まれている文字列に、目眩がした。
何故、このビラを俺に渡した？
もしかして、気付かれた？
無理もない。
あの日、初めて一緒に現場に行った日、俺は彼の目の前で能力を使ったのだから。
嫌われた、だろうか。
恐れられただろうか。
もしかしたら、明日から散々馬鹿にされたり、脅されたり、有りもしない事を署内に言いふらされたり…
中村「ｯ、はぁ、」
もしその時は、海斗を操って黙らせればいい。
中村「あーもう、っ！」
ほんの一瞬でもそんな事を思ってしまった自分が、恐ろしかった。
中村「御免、海斗…」
【人を操る能力】
作用
人を操ることが出来る。
もし願うならば、自分も好きなように扱える。
副作用
自らの体を傷つける事が出来ない。
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作者名：ちゃっぴ | 作成日時：2021年4月8日 17時
