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「おい、兎。」
声をかければわずかに反応があった。完全に気絶しているわけではないようだ。朦朧とした意識で、ぼんやりした目で俺の顔を見た。
顔はほんのり赤くなっているがやはり倒れた原因は熱中症なのだろうか。
不意に、つん、と微かな臭いが鼻の奥にささる。
何か、生臭ぇ。
この臭い、前にも嗅いだことがある。
これは多分、そうだ。
そのときは兎が男だと思い込んでいたから…その可能性については考えもしなかった。
「とりあえず救急車呼ぶぞ。」
合宿所内に設置されている近くの公衆電話へ向かおうとすると、弱々しい力が俺を後方へ引っ張りそれを遮る。振り返ると兎が俺の服の裾を掴んでいた。
「病院は、ダメだ…。」
小さな声だったがはっきりとそう言った。呂律は回っている。熱中症はなりかけた軽いもので、ここまで弱っているのは他の複数の原因が重なっているせいかもしれない。
「吐きそうか？」
「うん…でも出ないかも…。」
「歩けるか？」
そう聞くと一言だけ肩、という返答がきたので肩を貸して欲しいのだろうと腕を回した。兎はよほど苦しいのか、ぐったりしたままだが何とか足に力を入れて少しずつ歩みを進める。
そのまま兎の部屋まで運んでベッドに寝かせ、空調をつけて部屋の温度を調整する。
その間に兎はベッドの上で寝息をたて眠っていた。
こいつの服を脱がせるべきか…悩んで、今は触れないでおくことにした。
相手に悪いということもあったが、本当のところ核心に触れるのが恐ろしかった。
そのまま腹は冷やさないように布団を身体の半分までかける。
目の前に無防備な寝顔の兎。
眠っている顔は普段よりずっと幼く見える。幼少期の面影を感じた瞬間、こいつがやっぱりAAなのだとじわじわと現実感に襲われた。
昔も、今も、変わらず俺の側にいて、俺に余計なお節介焼いて、俺のサッカーを応援してくれている。
あんなことがあって、会わなくなって、もう何年も経っているというのに。
「…信じらんねえ、馬鹿だな。」
呆れるほど馬鹿馬鹿しいのに、口元が緩んで仕方ない。
嬉しいのか、俺。孤高の反逆児なんて呼ばれて、本当は理解者を求めていたなんて笑える。
俺にもう一度人を…Aを信じる覚悟があるならば。Aは兎ではなくAとして、俺と再会してくれるんだろうか。
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19 - 星猫さん» 優しい…ありがとうございます。イナズマイレブンシリーズはアレスとオリオンも含めて全部みました！同じlevel5作品だと妖怪ウォッチも好きです(^_^) (2021年9月8日 12時) (
レス) id: 4071e07d98 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃがしました。また高評価しました！知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 11時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
19 - 星猫さん» ありがとうございます！！嬉しい、、自給自足ですが励みになりました。今後も1日1更新、書き殴り続けますので暇つぶしにでも見ていただければ^^ (2021年9月7日 22時) (レス) id: 39de8a0c35 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：19 | 作成日時：2021年8月30日 21時
