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初めて不動明王に会ったとき、バカ正直に誘ったってきっとアイツはのってきやしないだろうと分かっていた。だから策を考えた。
「頼むよ、それ。大事なものなんだよね。」
エイリア石を落としたフリしてわざと明王に拾わせた。触れた途端、アイツはすぐに身をもってその力を理解したことだろう。この石がそれを持つだけで強力なパワー自分自身にもたらすことを。
「返して欲しけりゃこの俺の指示に従うことだな。」
アイツが強さを求めていることは知っていた。頂点に立つこと、人を支配することに人一倍貪欲であるのを知っていた。
そして、誰のことも信用していないことも、これからもその信用の２文字を覚える気なんて更々ないということも。
「参ったなあ…仕方ない。その石のことについて、お前に教えてあげる。」
明王を見つけたのはこのおれだ。巷じゃ噂の不良少年。知る人ぞ知る、優れたサッカープレイヤー。仄暗い影に隠れた彼のモノクロの人生を、おれは是非とも傍で見ていたいと思ったのだ。
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作者名：19 | 作成日時：2021年8月16日 0時
