閃輝暗点の夜【イナイレ】 (ページ13)

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おれがあのお方に出会ったときのこととか、出会う前にどうやって生きていたとか、そんなこともう何も考えられない。きっとそれもエイリア石の影響だ。

数ヶ月前。おれはあのお方、エイリア皇帝陛下吉良星二郎からの命令により影山零治の補佐役を担うことになった。目的は一つ、我々の組織に楯突く雷門中サッカー部を潰すチームを作るため。

影山の護送車を狙うにはその移動のタイミングを計らう必要があった。その時が来るまで、本当は余計なことをしてはならなかったのだけど

おれはこれから形成されるそのチームのキャプテンとなるような、「こちら側に引き込めそう」で「サッカーの上手い奴」を見つけてしまったのだ。

それが不動明王である。

明王は類い稀ない才能と実力を持っていた。
的確なボールコントロール、ずば抜けた頭の回転の速さ、そして歪んだ形を持った強さへの異常な執念。

一目で魅了された。彼がこれからサッカーで暗く沈んだ生活から頂点へのし上がる、そんな逆転劇をおれが支えて、一番近くで見届けたいと強く思った。だから明王を選んだ。

ヘソのピアスについた石に手を当てた。この石は明王の持つ石と繋がっている。
明王に渡したエイリア石のペンダントは、おれがあのお方からもらったエイリア石のカケラを半分に割って作った。
明王には奪われた”てい”だけど、おれはおれで、明王と同じようにエイリア石を持ち歩いている。

そうでないと、おれはもうエイリア石なしでは身も心も持たないと本能で確信しているのだ。