恋棚 ( 短編集 )

朝田淳弥 1 ページ27

行きたい大学がある、まだ高2だけど
私アホだから今からやらなきゃ間に合わんって担任に言われた。




柄じゃないけど、その時から
学校の図書室に通うようになって。





分からない問題にぶつかって、
手が止まって数分たったとき。







「 ……どこ分からんの 」



「 えっ…… 」






出逢いはこれやった。
顔を上げると見慣れない顔があって、
ネクタイの色から先輩やってすぐ分かった。




「 どれ？ 」



「 え、あ、……ココです 」







初対面なのに、優しくて、丁寧に教えてくれて、問題が解けて正解すると、




「 やればできるやん 」




俺もここの大学行くねん、と笑った彼の顔が頭から離れない。





頑張りや、そう声をかけてくれた先輩に
私は恋をしてしまいました。







-







「 淳弥先輩！ 」



「 …またA？てか、下の名前で呼ばない言うたやんか 」




「 ええじゃないですか、減るもんやないですし 」





はぁ、とため息をつきつつも笑ってくれる先輩はきっと私に甘い。



あれから見かける度声をかけてくれるようになって、たぶん仲良くなれてる、はず。






「 今日も図書室いますから！ 」


「 俺行くなんて言ってへん 」



「 えぇ… 」


「 ふふ、嘘。行ったるから待っとき 」






じゃあな、と手を振って淳弥先輩は自分のクラスへ帰っていく。



…ああ、かっこええな。






ただ単純にこの大学に行きたいだけじゃなくて、いつのまにか、淳弥先輩と同じ大学やから、が一番の理由になってた。

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