07 - past / re:now ページ7
あの夜をきっかけにして、スエと私は少しずつアイコンタクトを取るようになった。偶然に朝、家の前で出会えば一緒に登校をする。廊下ですれ違えばスエが手を振る。その時に垣間見る彼の頬は緩み、ふわりと微笑んでいた。
私は、ゆっくりだけれど確かに、前のような関係に戻れている、そう感じていた。しかしそれはあってはいけないことであると、心の隅の罪悪感が私の中の何かを押し潰しているような気がしていた。そのような感情が湧き上がるのは、決まって丈くんと一緒にいるときに起こるのだ。
私は丈くんが大好きで、真剣に何かに取り組む横顔も、居眠りしている寝顔も、私に向けられる輝かしい笑顔も、全部全部。それは間違いのないことであって、恋だった。でもそれはスエを見かける度に、いつしかいけないことをしていると、まるで見えない何かから責め立てられているような、そんな気がしていた。
混沌とする思考のなか、揺らぐスエへの想いも、丈くんへの想いも、私にとってどちらも大切で、どちらも棄てることができない。単なる強欲さが、どんどん私の首をしめていく。そんな葛藤を掲げながら過ごした月日はうつらうつらと夢のようにあっという間に過ぎ、
気がつけば外の木々は閑散としているほど寒くなった12月の中旬。
**
− そして、話は冒頭へと戻る。
ふと意識を戻せば、隣には真剣に、でもどこか虚ろに先生の話を聞いている丈くんの横顔が見える。時計の針が何個か数字を跨いでいた。それほど苦手ではない英語の時間は唯一熱をかけるほど必死になる授業でなかった。その、はずだった。
今回のLessonは幼少期の思い出を題材とした英文であった。パラパラと教科書を捲る音が静かな教室にはよく響いた。先生が読み上げる文章が耳をするりと抜け、引っかかる一文が飛び飛びに私の脳内に入り込んでくる。
I suddenly recalled my childhood.
.
.
.
I still miss him.
.
.
.
There are no reasons to fall in love.
Love is blind.
じわじわと頭の中に駆け巡る記憶に、私の心臓は速く速くと鼓動を始める。机の角に置いておいたサイダー缶に引っ付いているプルタブを眺めたとき、思い出したのは現を抜かしたようなあの約束だった。
ぎゅうぎゅうと胸を押しつぶすほどの切なさと愛おしさが込み上げ、私は自分の気持ちが分からなくなってしまった。一体、私の気持ちはどこにあるのか、と。
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山田さんちのきりたんぽ(プロフ) - めっちゃキュンキュンします！丈くんも、スエ様も、どっちもカッコイイですm9(+ゝω･´+)ｶｯｺｲｨ───ｯ☆これからも更新頑張ってください(*｀･ω･)ゞ応援しています！ (2018年8月31日 10時) (
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作者名：ナナセ。
| 作成日時：2018年8月30日 20時
