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ﾋﾟﾋﾟﾋﾟ
「ん〜……」
まだ眠い目を擦りながら布団から起き上がる
顔を洗い鏡越しで浮腫んでいる顔に
イライラしながらも
パジャマから服に着替えて
「いってきま〜す」
誰もいない部屋に告げて
朝陽が出る前にカメラを持って家から出る。
これが俺の日課だ。
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いつものように防波堤で朝陽を待っていた。
「あ〜風が気持ちいいな〜」
なんて言いながら背伸びをしていると
見かけない女性が砂浜を歩いている
俺はどうしてもその女性から
目が離せなくなった。
立ち止まったと思えば
持っていた靴を海に投げ込んだ。
風に吹かれて乱れた長い髪も
人の目も気にせず
砂浜に膝を着いて声をあげて泣いていた
「あちゃ〜…彼氏と別れたのかな…」
正直第一印象は
《関わりたくない》
そう思っていた。
その何日後かにまた女性を見かけた
「まーた違う子が海で泣いて…アレ？」
よく見たらこの間の子か
「髪の毛…ショートになってる…」
前と違ったのは髪型だけじゃなくて
静かに泣きながら朝陽を見て
泣いた後に右腕で涙を拭っていた
その姿があまりもかっこよくて
無意識に彼女にカメラを向けていた。
どんなことで泣いてるかも
どんなことを抱え込んでいるのかも
わからなかったけど
涙を拭って朝陽を見ている姿はとても強そうで
ただただ綺麗で…
ファインダー越しで彼女と朝陽が反射した海が
とても輝いていた
毎日ではないけれど
決まって朝陽を見にきて
来る日も来る日も泣いている
名前も知らない彼女に
《どうか泣かなくてもいい日がありますように》
なんて
いつしか願っていた。
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作者名：いろは | 作成日時：2021年2月21日 13時
