海の泡 (ページ17)

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「はい2ヶ月分たしかに受け取りました～」

お金を渡した相手はそう言う。

「Aちゃん愛想ないけど僕のお知り合いさん」

「みんなから評判と～ってもいいんだよ～！！」

どうでもいい

口元は笑ってるけど目は笑ってない

とても怖い人

そのまま立ち去ろうすると

「でもほんと大変だよね～」

事務所に来る度にこれだ

何回目の嫌味だろう

「消えた彼氏の借金肩代わりしなきゃで」

「毎日色んな男から抱かれないといけないなんて」

歯を食いしばる

ふと記憶がフラッシュバックする

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その日は仕事がなかなか終わらなくて

残業をしていた

やっと終えた仕事後に携帯を見ると

『Aほんとにごめん。ほんとにごめん…』

何度も消え入りそうな声で謝る

海人からの留守電が入っていた

急いで2人の家に帰宅すると

部屋が荒らされていて

海人の姿はなかった

その代わりに

怖いお兄さん達が何人もいた

「あ、中村くんの彼女の佐野Aちゃんかな？」

「中村くんいないんだけどどこかな？」

不気味に笑った

ある紙を見せられた

金額が書かれていたが

とても返せない額だった

「あれ中村くんからきいてない？」
「Aちゃんが連帯保証人のこと」

あの日全てが奪われた

「あ、中村くんから連絡あったら僕にも教えてね～」

声が聞こえたと同時に

現実に引き戻された

「そうだ！ちゃんとピルも飲んでね～」

「面倒だし余計借金増えるよ～」

よろしくと笑いながら手をヒラヒラさせていた

バタンと事務所のドアを強めに閉めた

いくら吐いても

気持ち悪くて

いくら体を洗っても

消えなくて

あいつも

あいつも

あいつも

あいつもあいつも……………

全部ただただ

気持ち悪い

でも

汚れた自分が

1番気持ち悪かった

寮へ戻り疲れ果てた体を

布団へ沈める

その日海人の夢を見た

海人と一緒にいた時の夢

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