海の泡 (ページ11)

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だけど

あの日は違った

いつもの彼女なら涙を拭って帰り始めるのに

拭わずにそのまま海へ進もうとしていた

その姿を見かけて

「えっ、おいおいおいおい！！！」

カメラを置いて

思わず走ってた

海へ入り出した彼女に

「ちょっとまって」

咄嗟に掴んだ手首

折れてしまいそうなほど細い

驚いて振り返った彼女と

「「あっ」」

勢い余ってバランスを崩して

海へと飛び込んでしまった

「ほんっとにすみませんでした！！！」

俺何やってんだよ…

気にしないで下さいと彼女は言うが

3月になりたての海はまだ冷たいし

全身ビショ濡れになってしまって寒い

「家近くなのでお風呂入ってって下さい」

勝手に口と身体が動いていた

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「へーそんで家に初めて女の子あげたんだ」

そう言ってコーヒーを片手に
ニヤニヤ笑うちゃかはこの店の常連

ほぼほぼ毎日来てる

同い年ともあって意気投合して

なんでも話し合える仲になった

「でもさ」
「助けようとしてかっこよく決まらないところが」

松倉らしいよねっとちゃかが笑う

「まじ笑い事じゃないんだって！まじで！」

女の子の服どうしたらいいかわからないし

お風呂上がりの佐野さんかわいかったし

まじでどうしたらいいかわからなかった

冷静なフリしてかっこつけてたけど

てんやわんやだった

「そんな見た目で女の経験無いんだもんなー」

俺だって年齢的に

付き合いの4、5人…

いや盛ったわ

1人、や2人はいるけども

その経験、はない。

「他なんか話せたの？」

「あー…俺の写真素敵だって」

「へー！良かったじゃん。好きな事を褒められるの」

「あと貸した服を今度返しに来るって約束も」

「連絡先聞いてないのにすごい。展開が早いな」

でもさ、っと俺は続けた

「あの子全く笑わないんだよね」

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