髙木さんと伊野尾さんの短編集3 (ページ13)

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俺たちにとって、15年も続いてるこのグループは家族みたいなもので、この15年で1番変わったことは俺にとってもこのグループのメンバーはただの仕事の付き合いで片付けられるだけのメンバーではないということ。どのメンバーも大切だし、どのメンバーがかけてもダメだということ。それくらい俺たちはこの15年間で絆を深めてきた。

でもやっぱり人間相性なんかもあって、薮と光はその中でもお互いが言い表せないくらい思い合ってて、深い絆で結ばれている。お互いがお互いの居場所であり支えとなっている。

昔の俺は、そこまでのやつメンバーには現れないと思ってた。仕事以外のプライベートで遊んだり、滅多に相談しない俺が相談したりする相手なんて。

そんな俺を変えてくれたのが髙木だった。お互い何となくグループから浮いてるななんて思ってた時期があって。最初はほとんど口も効かなかった相手。だけどいつの間にか仲良くなってて。気がつけば俺の1番の理解者になってくれてた。俺自身も、どのメンバーよりも髙木のことをわかってる、いや、わかりたいと思うようになった。

人に中々甘えられない俺が、グループのメンバーの中で心から甘えられる相手。優しくて寛大で、俺のことを甘やかしてくれる人。

でも俺が甘えすぎてしまったせいか、食事に誘っても断られることが増えていって、誘うことに臆病になってしまっていた。

こんなふうに特別って思ってるのは俺だけだったりして。

そんなふうに思うと虚しさが込み上げる。

あいつは仲間思いだから、メンバー以外に友達も多いし、別に俺なんかがあいつのそばにいなくても、なんて捻くれて、意固地になってしまう俺がいる。

可愛くねぇーな俺。こんなんだからダメなんだろうな。

そんなことをボーッと考えながら家路についた。