花火ひらく

2 ページ2

『隣の家に越してきた、佐藤さん。』


隣といってもかなり距離はあるけど、
ずっと空き家だった隣の家に夏休みの間だけ、越してきた、
色白の綺麗なお母さんと1個歳上の16歳のサトウショウリくん。


『佐藤勝利です。よろしくお願いします。』

ショウリくんはお人形さんのような整った綺麗な顔をしていた。

田舎の周りにいた男子はなかなか着ない、ただのまっさらのTシャツを着ていた。
でもその大きな瞳はただまっくろ。

そんな彼を見て、部活のTシャツを着て、さっきまで裾をばたばたさせて涼んでいたわたしはなんだかとても恥ずかしくなった。

それと同時に、
不思議な人だなあ、と思った。



『遊ぶ、なんて年じゃないかもしれないけど、
Aちゃん、仲良くしてやってね。』

そういってショウリくんのお母さんは優しく笑った。

3→←1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す