イライさん家のメイドさん【第五人格】 (ページ6)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:32,068 hit

５話ページ6

注文したパンケーキを口に頬張るイライ様を見ると、先ほどの悩みなんてものはふわふわとどこかへ飛んで行ってしまった。

「A！この世界にはこんな美味しいパンがあるんだね！！」

「ほら、やっぱり知らなかったんじゃないですか。」

思わずクスっと笑ってしまう。

「よかった。やっと笑ってくれた。」

「え・・・」

「今日すごくムスッとしてたから。理由は私にはよく分からないけれど。Aは笑っていた方がずっと可愛い。」

「すみません、お花摘みに行って参ります。」

「このタイミングで！？」

ああ、だめだ。

頬が緩んでしまう。

これではまるで付き合いたての彼氏と彼女のようではないか。

それに・・・

「(あぁ！！あの生クリームを口の端につけながら、パンケーキを頬張るイライ様をカメラに収めたいぃぃぃ！！！なんであんな可愛いんだよ、あの生き物は。可愛すぎて一緒にいるだけで失神しそうだやばい。それにこんな甘々な空間で甘々なことを言われたら幸せすぎて私の華麗なるポーカーフェイスが崩れてしまうぅぅ・・・)」

はっ・・・・

そろそろ戻らなくては。

「お待たせしました。」

「おかえりなさい。Aの方のフルーツパンケーキも食べていい？私のチョコレートパンケーキもあげるから・・・」

「もちろんいいですよ。」

「ありがとう！！」

嬉しそうに私のパンケーキにフォークを伸ばそうとする。

「あ。」

「なんですか。」

「「あーん」とかしてくれたりは・・・」

「しません。調子に乗らないでください。」

「だよね、ごめんごめん。」

結局パンケーキ屋さんでのお会計は払わせてもらえなかった。

「今日は自分が誘ったから。」

ということらしいが、そうやって何かと理由をつけていつも私は奢られてばかりだ。

「ありがとうございます。」

「こちらこそ付き合ってくれてありがとね。」

私はこの放課後の恋人のような時間が大好きだ。