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両親がボディビルダーって本当なんだろうか。もしかしたら、冗談だったのかもしれない。
棚の中のトマト缶を手に取りながら昼間の丸山さんのことを思い出して、もう少し上手く話せればよかったと思った。慣れないひととしゃべった後ってたいてい反省する。
ペンネ(乾麺)、乾燥ハーブミックス(詰め替えの袋のやつ)、オイルサーディン。
タツはたまに今まで私が買ったこともないようなものを買い物リストに載せてくる。
トマト缶って、カットとホールがあるけど、どっちなんだろう。幽霊は携帯電話を持たないからすぐに連絡を取れなくて不便だ。
大は小を兼ねると言うしホールにしておこう、とカゴの中にホールのトマト缶を置いて、ふたたびカートを押す。
スーパーマーケットの中をゆっくりと徘徊しながら、私はまた、今朝タツに言われたことについて考えていた。
大切なものは、なくしたときとことを考えるとどうしようもなくさびしくなることを私は恐れている。
大切なものを失うって、その先はその大切なものがなくなった人生がずっと続いていくってことだ。欠けた穴がふさがらないままずっと歩いていかなければいけないってこと。
特に人間なんて、と立ち止まり、わさびのチューブを棚から探しながら思う。
人間なんて、失う可能性が高い。いついなくなってしまうかもわからない存在のそばにいることが、私には難しいような気がした。
そんな心を揺さぶるようなさびしさを携えていくより、私はひとりでひっそりと静かに暮らしていたほうがいい。ひとりぽっちのさびしさに耐えたほうが、ずっといい。
タツの言うことは正しいけど、それが私の言い分だった。
そういう意味では、タツにもはやく自分のことを思い出して出て行ってもらわないと困る。
タツとの生活があたりまえになればなるほど、いなくなる日のことを考えたくなくなるから。そもそも、一生幽霊と暮らす人生なんて、そんなことあるはずがない。
ぼうっと考えながら、カートを押してレジに並んだ。
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蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、お久しぶりです…！早速コメントくださりありがとうございます。かなり前のお話をまだ読み返していただけてうれしいです…(T . T)少しずつの更新にはなりますがお付き合いいただけると幸いです！ (2022年11月20日 18時) (
レス) id: a5f8e6e331 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - お久しぶりです。数日前に満月の夜は〜を読み返したばかりです(^^)また蒼夢見子さんの新作読めるの嬉しいです♪続きも楽しみにしてます。 (2022年11月20日 6時) (レス) id: 9548b7921c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2022年11月20日 0時
