「記憶喪失の幽霊」 ページ1
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レオの元気がない、と昼間妹から電話があった。
レオというのは実家で飼っている黒猫のことで、正しい年齢はわからないけれど私がひろったのが十数年前なのだから、もう立派な老猫だ。
あれは高校の入学式の帰りだった。段ボール箱に入れられていたまだちいさなレオを神社の前で見つけて、私はなんの迷いもなくひろって帰ったのだ。
ベッドの中で寝返りをうって、私はまぶたの裏にレオの姿を思い浮かべる。もうすぐ深夜1時くらいだろうか。今夜はすこし肌寒かった。
レオのレオとは、レオナルド・ディカプリオのレオだ。レオをひろって帰った晩にテレビでタイタニックをやっていて、レオの目はレオナルド・ディカプリオの目と同じ色をしていると思った。うすいアクアブルーの瞳。
性格はどちらかと言えばドライで、人に擦り寄ったり膝の上で丸まったりしているところは一度も見たことがないけれど、いつもなんとなく家族のそばにいる。レオはそういう、気高いけれどやさしい猫だった。
そのレオの元気がない。
最近あまりエサを食べなくなったし、動きも鈍く、ねむってばかりいる。妹はそう言っていた。
もう一度寝返りをうち、レオの綺麗な瞳ややわらかく艶やかな黒い毛をていねいに思い出してみた。レオはもう、私のことなんて忘れてしまっているだろうか。
どうにも眠れる気がしなくて、枕元に置いた携帯の画面をつけてみる。痛いくらいのまぶしい光。
午前12時48分。遠くで波の音が聞こえた気がした。
ちいさくため息をつくと仕方なく起き上がり、足元に無造作に置いてあったカーディガンを肩にひっかけて、ベッドを置くのがやっとの狭い寝室を抜け出した。
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蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、お久しぶりです…！早速コメントくださりありがとうございます。かなり前のお話をまだ読み返していただけてうれしいです…(T . T)少しずつの更新にはなりますがお付き合いいただけると幸いです！ (2022年11月20日 18時) (
レス) id: a5f8e6e331 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - お久しぶりです。数日前に満月の夜は〜を読み返したばかりです(^^)また蒼夢見子さんの新作読めるの嬉しいです♪続きも楽しみにしてます。 (2022年11月20日 6時) (レス) id: 9548b7921c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2022年11月20日 0時
