【58】大人 ページ8
まふまふ side
忙しい日々が終わる二日前。
それはライブ、【夏祭り】の当日だ。
主催である俺と、ピースは誰よりも早く現場入りをしていた。
まだ空は暗く、少しずつ淡い紫に色に空が染っていく。まだ、証明の置かれていない現場。僕らは荷物を置いて、ステージに立った。
沢山並ぶ椅子、ライブフードを販売する屋台。
そして下手側にはどこまでも、どこまでも果てしなく続く海がある。
ピースはめいいっぱいに息を吸い込むと満面の笑みで笑って言う
『ここにして、よかった』
と。
その笑みは、出会ってから四年。ずっと見たことがなかった初めての笑みだった。
一番、少年らしい笑顔。
この顔、また今日見せてくれるかな。僕は｢最高のステージにしよう｣と拳を突き出すと、彼の成長した大きな手の拳が当たった。
｢おい！まふくんとピースだけずるいぞ！｣
｢そうだそうだ！｣
｢せやせや。二人だけ主催者だから言うて先きおって。僕らやってメンバーなんですよ？｣
『おはようございます…え、なんでいるんですか』
｢知るかよ…てか、お前らが早く出るから、こいつらに叩き起されたんだけど…どうしてくれんの｣
｢ドアがっちゃんって閉めたでしょ。俺すぐわかった｣
｢僕、お腹すいておにぎり買ったんだけど、ピース食べる？ピースがすきな明太子あるよ｣
『あ、食べます』
｢食べるのかよwwwww｣
『めいちゃんがくれるって言ったんでしょwwww』
さかたんに、あまちゃん、センラさんに、そらるさん、米津くんに、めいちゃん。
なんで早く来てるのがバレたのかはわかんないけど、緊張で苦しくなっていた心が和らいでいく。
『あ！僕のおにぎり…』
｢めいちゃんのお金でしょ。はいまふにあげる｣
｢いただきます｣
｢俺にもひとくちちょうだい｣
馬鹿なやり取りをしていくうちに、空は赤くなり、太陽が昇り始める。
水平線から上がる太陽が客席と僕らを照らす。
みんなが水平線を眺めた。するとピースが『よし』と立ち上がり大きな声で太陽にむかって叫んだ。
『もう、あの頃の弱い僕は居ない！！！助けられた僕が、沢山の人を助けてやる！！！
これが僕の、
彼の目がキラキラと輝く。
｢かっこよくなりやがって｣
俺が泣きそうだよ。
でも、お前が泣くまで
俺ら大人は泣きません。
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雨音 uto(プロフ) - なーなー。さん» 上から目線でしたら申し訳ありません。 (2020年10月29日 22時) (
レス) id: 975f6eaeb1 (このIDを非表示/違反報告)
雨音 uto(プロフ) - なーなー。さん» 何を認めるかは自分次第ですが、どんな所でもいいです。強いところ、弱いところ、得意なこと。自分にスポットライトを当ててみてください。人は誰しも違い、違う心の素顔を持っています。これから先、なーなーさんの素顔が無いものにならないように。 (2020年10月29日 22時) (レス) id: 975f6eaeb1 (このIDを非表示/違反報告)
雨音 uto(プロフ) - なーなー。さん» コメント、ありがとうございます。これはただの私の独り言なのですが、人は色々な場面で違う仮面を被っている生き物だと思います。親の前、先生の前、友達の前。少しだけ、分厚いものでなく薄い仮面にしてみてはいかがでしょうか。少しだけ、自分を認めて上げてください (2020年10月29日 22時) (レス) id: 975f6eaeb1 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー。 - 一気読みさせていただきました。不登校でもいじめにあっているわけでもないものの、貼り付けた仮面で過ごしている自分にとって音楽は心の支えです。主人公と作者さんの前向きに努力する姿を見て自分も頑張らないとと思いました。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年10月29日 22時) (レス) id: 3485a9157f (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - 雨音 utoさん» ありがとうございます！外伝に是非起用しますね！ (2020年10月15日 11時) (レス) id: 5447677fd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 x他1人 | 作成日時：2020年9月24日 0時
