〜第二章〜 海 【歌い手】２

【52】カラオケ ページ2

No side




YouTubeにまふまふから１８時頃上げられた動画
【ワールドドミネーション／ひきフェス2019】

そして、ピースから１９時頃あげられた動画
【とうとう祭り開催するってよ】



この二つはファンの心を動かし、
【とうとう祭り開催するってよ】に関しては少しダサいネーミングのいじりと共に、ライブとしても初の試みにメディアも注目を集めた。

そんな中、ピースは都内のカラオケ店を訪れ、人を待っていた。

雨が降り、差している傘には雨粒が何度も落ちる。
雨の音が緊張している彼の心を整えていく。


｢久しぶり。待たせた？｣


かけられた声に振り返ると彼が憧れる大好きな人が立っていた。



『大丈夫ですよ。お久しぶりです』

｢ごめんね。よし、中入ろっか｣



手続きを済ませ、部屋に入ると
｢何深刻そうな顔してんの｣と彼はピースに問いかける。


『お願いがあります』

｢おう？｣

『今度開催するライブ、“夏祭り” にシークレットゲストとして出ていただけませんか』


しっかりと見つめてくる目に驚きながら、彼は少し悩んだ。


｢出番にもよるし、内容にもよる｣


するとピースはその答えを知っていたかのように資料を手渡した。



『これが、コンセプトと内容、仮決めされたメンバーと一連の流れです』

｢自信あるんだ｣

『はい。元からメガテラさんには出て欲しいと思っていたので』


数分、メガテラと呼ばれた男は資料を眺め｢成程｣と頷いた。



｢うーん…やってもいいけど、その一時間の休憩から三十分欲しい｣


｢ステージなんか見てない、出てくるなんて思わない。そんな時に歌い出したら楽しくない？みんながびっくりして俺だけを見るの｣


｢折角なら、このセンターステージで歌いたいなぁ…Aくんと一緒に｣


これはいいということなのだろうか。
ピースは彼の目を見つめると｢なに不安そうな目してんだよ｣と頭を撫でられた。



｢是非、参加させて｣


｢っ…！ありがとうございます！｣


ふわっと微笑むと｢何歌おっかなぁ｣とカラオケが始まる。



『近々打ち合わせが入るかもしれませんが、大丈夫ですか？』

｢うん。こっち優先するから気にしなくていいよ｣




楽しみがまた増える。

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