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(youーside)
「それに、女優として身につけた表現力はAAAにも活かせるでしょう?」
西「…本当どこまでも、」
隆弘は優しい表情で笑みを浮かべる。
西「どこまでも……詩の中心はAAAだよな」
「うん」
AAAがあるから、今の私がいる。
きっと、私がAAAを辞める時は。
芸能界を辞める時なんだろう。
ーーまあ、まだまだ辞めるつもりはないんだけど
ココアを飲みながら、台本を読んで話の流れを掴む。
その後ろで隆弘もまた、パソコンと向き合っていた。
無言の空間。
改めて言えば私達の関係は恋人同士だけれど。
何か急に変わったかと聞かれれば、実は大してそんな事はない。
メンバーには急すぎだ、なんて言われても。
家にいる時はどちらかと言うとお互いに仕事仕事ばかりで、あまり甘さなんてものもない。
だけど、この空間がとても居心地良くて。
少なくとも私は、とても仕事に集中できる。
ーー隆弘も、そうだったら良いな
なんて、そんな事を思いながら台本のページを捲った。
.
(nishijimaーside)
仕事が一段落して後ろを確認すると、台本のページが開いたまま、首を揺らしていて。
少なくとも外では見ることのない無防備な詩の姿に、クスリと笑みが浮かぶ。
西「詩、歯磨いて寝ような」
「んー……もうちょっと…」
西「今日は早く寝て、明日早起きしてやろう」
「…んん、うん…」
大人しく立ち上がった詩は洗面所へ向かう。
お互いに仕事が忙しくて、恋人らしい事なんて殆ど出来てない。
時間が合えばどちらかの家に行き来するけど、結局いつの間にか仕事をしていて。
でも。
仕事をしていても、いつも近くに詩を感じられて。
同じベッドで眠って、隣には詩の体温。
朝、時間があれば詩が作ってくれた朝食を一緒に食べる。
それだけで満たされた気分になる、なんて。
ーー俺の、ワガママだろうか
勿論、時々は恋人らしい事をしたいと思うし、詩を喜ばせるような事をしたい。
ただ。
ーーもう暫くは、この幸せを噛み締めていたい
絶対に手に入らないと、何度も言い聞かせてきた時間が、奇跡の様に手に入ったのだから。
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海(プロフ) - 海音さん» ありがとうございます!次章もマイペースに更新していきたいと思っておりますので、またよろしくお願い致します! (2020年2月20日 20時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
海音(プロフ) - 楽しく読ませて頂いてます!すごく面白いです!!次の章も楽しみです!これからも頑張ってください!! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 8f38073b2c (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - ゆうさん» かなり長かったと思うのですが、ありがとうございます!マイペースな展開と更新になりますが、これからも頑張って参りますので、お付き合い頂ければ嬉しいです! (2019年12月14日 18時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 最初から一気に読んじゃいました!笑 とっても面白かったです! これからも頑張ってください! (2019年12月14日 16時) (レス) id: 3d09ff0bd0 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - EYさん» ありがとうございます!ゆっくりで良いとお気遣いまでして頂き、本当に嬉しいです。マイペースに頑張って参りますので、これからもよろしくお願い致します! (2019年11月18日 20時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2019年11月9日 18時