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(atae-side)
浦「楽屋、行こうか」
ライブが終わって、直也くんが俺達に言う。
浦「一緒に行きませんか?」
そして、詩のお母さんにも。
千「私は…、」
一瞬直也くんを見上げて、目を伏せてしまうから。
「「「……」」」
俺らもつい、顔を見合わせた。
──なんで家族やのにこんなに遠慮してしまうんやろ
それは純粋な疑問で。
勿論、色んな事情があるのは分かってる。
でも、今日このライブにこの人が来てほしいって願ったんは、紛れもなく詩自身やから。
與「感想、言いに行ったら良いと思います」
千「……感想」
西「…………今、あのステージで歌ってたのは誰ですか?」
にっしーの質問に、思わず息を飲んだ。
敢えて皆、聞いてなかった。
……目の前で歌ってる人が、ホンマに詩やって分かってるかどうか。
千「私の、娘ね」
西「じゃあ、遠慮してないで行きましょう」
ハッキリと。
詩の存在を認めたお母さんに、にっしーはまるで自分の事ように嬉しそうな笑顔を浮かべた。
.
楽屋前まで来て。
直也くんがノックをすると、中から詩が返事をした。
浦「お疲れー」
「あ、みんな!」
日「凄い良かったよ」
與「詩めっちゃ格好良かったで!」
「ありがとう、来てくれて本当にありがとう!」
ゾロゾロと入りながら感想を言っていく。
伊「ねえ、DVD発売決まったら言ってね?予約するから!」
末「発売したら頂戴」
「千晃は大歓迎だけど、秀太……まあ、有難いけどさ」
末「冗談だっつーの」
あはは、と笑った詩は流れるように楽屋の入り口を。何処か緊張した面持ちで見る。
「実彩子、にっしー」
西「お疲れ」
宇「お疲れ様、詩…………千弦さん」
実彩子ちゃんに呼ばれて。
千「……」
恐る恐るといった様子で、顔を見せる。
「───お母さん、」
今にも消えてしまいそうな声で呟いた詩に、お母さんもまた、重々しく口を開いた。
千「詩ちゃん、」
「!」
只、名前を呼んだだけ。
それだけで、泣きそうな表情を浮かべる詩に。
浦「……俺ら、スタッフに挨拶してから来るね」
直也くんが一言声をかけて、俺らは楽屋を後にしたのだった。
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海(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…!本当にありがとうございます!マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです!!昨日から一気に読んでしまいました!これからも楽しみにしてますね! (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2019年3月24日 19時